薬剤師国家試験 第110回 問170 過去問解説

 問 題     

ある薬物は血漿と組織に分布し、その血漿中非結合形分率は 0.10、組織中非結合形分率は 0.50 である。この薬物を患者に投与したときの分布容積 (L) に最も近い値はどれか。1つ選べ。

ただし、この患者の血漿容積は 3 L、組織容積は 40 L とする。

  1. 0.3
  2. 3
  3. 11
  4. 43
  5. 203

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

【分布容積 Vd について】
Vd = D/C0 が基本公式です。


【分布容積の具体的な値のイメージ】
分布容積 約 3L:
投与した薬物がほぼ血漿のみに分布、組織移行ほぼなし。

分布容積 約 14L:
血液以外の組織外の液体 (組織間液) まで分布

分布容積 約 43L:
投与した薬物が全身に等しく分布しているイメージ

分布容積 43L 以上:
投与した薬物が組織により多く分布しているイメージ 


本問のように
「血漿:大体 3L」と「組織:大体 40L」で考える場合には

Vd = Vp + Vt × (fp/ft) ・・・(1) が基本の式です。
p は plasma、t は tissue の略です。

※fp:血漿中非結合形分率、ft:組織中非結合分率

(1) 式に問題文で与えられた数値を代入します。
Vd = 3 + 40 × (0.10/0.50)

= 3 + 8
= 11


以上より、正解は 3 です。

類題 103-168
https://yaku-tik.com/yakugaku/103-168/

類題 101-167
https://yaku-tik.com/yakugaku/101-167/

参考 薬物分布の変動要因
https://yaku-tik.com/yakugaku/yz-2-2-5/

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