問 題
腎機能が低下したある患者のイヌリンクリアランスが 30 mL/min/1.73m2、クレアチニンクリアランスが 50 mL/min/1.73m2 であった。この患者の腎機能に関する記述として適切なのはどれか。2 つ選べ。
ただし、クレアチニンは血漿タンパク質に結合せず、尿細管で再吸収されないものとする。
- 糸球体ろ過速度は 20 mL/min/1.73m2 と推定できる。
- イヌリンの尿細管での再吸収クリアランスは 20 mL/min/1.73m2 と推定できる。
- クレアチニンの尿細管分泌クリアランスは 20 mL/min/1.73m2 と推定できる。
- 糸球体ろ過速度が正常なときより、イヌリンクリアランスは大きいと考えられる。
- 糸球体ろ過速度が正常なときより、クレアチニンクリアランスは小さいと考えられる。
正解.3, 5
解 説
【腎クリアランスに関する基礎知識】
CL はクリアランスの略です。
『腎CL = 「糸球体ろ過 CL」 + 「分泌 CL」 - 「再吸収 CL」』です。
イヌリンは分泌も再吸収も受けません。
イヌリン CL = 糸球体ろ過 CL です。
クレアチニンは再吸収を受けません。
従って、イヌリンクリアランスとの差は 分泌 CL を表します。
選択肢 1 ですが
糸球体ろ過速度 は イヌリンクリアランスと等しいと考えられます。つまり 30 mL/min/1.73m2 です。20 ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
イヌリンは再吸収を受けません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
50 - 30 = 20 が、クレアチニンの分泌 CL と推定されます。
選択肢 4,5 ですが
「糸球体ろ過速度が正常」とは、大体 100 mL/min/1.73m2 です。これは基礎知識です。従って、イヌリンクリアランス (30 mL/min/1.73m2) 、クレアチニンクリアランス (50 mL/min/1.73 m2) も「小さい」です。選択肢 4 は誤りです。選択肢 5 は妥当です。
以上より、正解は 3,5 です。

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