問 題
薬物動態の変化に関連する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 心不全患者では、水溶性薬物の腎排泄速度が低下する。
- 肥満患者では、脂溶性薬物の分布容積が小さくなる。
- 小児では、水溶性薬物の体重当たりの分布容積が成人よりも大きい。
- 妊娠に伴って、糸球体ろ過速度が低下する。
- 血清アルブミン値低下患者では、薬物の分布容積が低下する。
正解.1, 3
解 説
選択肢 1 は妥当です。
水溶性薬物であれば、主に腎臓から排出されると考えられます。そして、心不全 → 血流量↓ → 腎血流量↓ なので、水溶性薬物の腎排泄速度が減少します。
選択肢 2 ですが
肥満患者であれば、脂肪が多いと考えられます。すると、脂溶性薬物は血中から組織により多く分布して、分布容積は大きくなります。「肥満患者では、脂溶性薬物の分布容積が小さくなる」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
赤ちゃんの方がみずみずしくプリっとしていることから、体重当たりの水分量が多い → 水溶性薬物が成人よりも分布という流れで判断できると思われます。
選択肢 4 ですが
妊娠により、血しょう量が増加し腎臓のはたらきが増大します。一般的に、妊娠により糸球体ろ過速度は上昇します。「妊娠に伴って、糸球体ろ過速度が低下」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
血清アルブミン↓ → 血中に薬物がタンパク質と結合した形で保持される割合↓ → タンパク質から離れている薬物は組織へ移行しやすい → 分布容積↑ という流れになると考えられます。「血清アルブミン値低下患者では、薬物の分布容積が低下」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。

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