問 題
4 歳男児。体重 14 kg。事故で低酸素脳症となり大学病院に入院していたが退院し、在宅で人工呼吸器と胃瘻及び導尿による管理を行っている。
脳下垂体機能不全に対しては 3 ケ月に 1 回、大学病院の内分泌・代謝内科を外来受診することになっており、初回受診時に、以下の薬剤が処方された。

問202
処方 2 の薬剤は製造過程で水溶液を凍結乾燥して調製される。
水の状態図中に記された状態変化のうち、凍結乾燥の過程における水の状態変化を正しく表しているのはどれか。1つ選べ。ただし、状態変化は A から B へ矢印の方向に起こるものとする。

問203
初回受診後の患者家族に対して薬局薬剤師が行う服薬指導として正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 発熱時には処方 1 の薬剤を増量する必要があるので、医師の指示を受けてください。
- 幼児は成人よりも体重あたりの必要水分量が多いので、1 日合計 2 L 以上の水を薬剤と共に与えてください。
- 決められた服用時刻を遵守すれば、食事の時間はいつでもかまいません。
- 痙れんや嘔吐は薬剤による副作用の可能性があるので、医師に連絡してください。
- 大豆製品は処方 3 の薬剤の効果を強めるので、摂らせないようにしてください。
問202:3
問203:1, 4
解 説
問202
水溶液を凍結乾燥させる際の「水の状態変化」について問われています。水溶液だったのだから水は元々液体です。そして、乾燥させることで水分を飛ばしているのだから、状態変化の終点 B において気体となります。
選択肢 1,2 ですが
「温度を上げていって液体 → 気体」 という変化を表しています。始点と終点の状態は妥当ですが、「凍結」する際に温度を下げるはずです。選択肢 1,2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
まず温度を下げて凍結した後、圧力を下げることで気体にしています。巧みな操作ですよね!
選択肢 4,5 ですが
始めの状態が気体なので、選択肢 4,5 は誤りです。
以上より、問 202 の正解は 3 です。
参考 代表的な状態図
https://yaku-tik.com/yakugaku/bk-3-1-3/
問203
選択肢 1 は妥当です。
選択肢 2,3 ですが
デスモプレシン服用時は水中毒に注意が必要です。「水分摂取管理に気をつける」ように説明します。「1 日 合計 2 L 以上の水を薬剤と共に与える」という指導は適切ではないと考えられます。選択肢 2 は誤りです。
また、食事を含め服用の 2 〜 3 時間前より起床時までの水分の摂取は最小限とします。「決められた服用時刻を遵守すれば、食事の時間はいつでもかまわない」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
水中毒の可能性があります。
選択肢 5 ですが
本試験時点において、大量に摂取することがない限り問題ないと考えられています。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 203 の正解は 1,4 です。

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