問 題
76 歳男性。下肢にしびれを感じて外科を受診し、6 ケ月にわたって通院していたが、その間、腎機能が徐々に低下していたため内科を紹介された。血液検査結果により慢性腎臓病と診断され、外来で経過を観察することになった。
(外来時の身体所見)
身長 168 cm、体重 74 kg、体温 36.5 ℃、血圧 142/85 mmHg
(検査値)
BUN 40 mg/dL、血清クレアチニン 1.4 mg/dL、eGFR 42 mL/min/1.73m2、血清アルブミン 2.6 g/dL、空腹時血糖 81 mg/dL、HbA1c 5.6 %、Na 138 mEq/L、K 4.5 mEq/L、ALT 35 IU/L、尿中アルブミン 100 mg/day、尿アルブミン/クレアチニン比 83.3 mg/gCr、尿タンパク (+)、尿タンパク/クレアチニン比 0.25 g/gCr(簡易尿検査)
問228
この患者の慢性腎臓病の重症度を分類する上で、必要な検査データはどれか。2 つ選べ。
- BUN
- 血清アルブミン
- eGFR
- 尿アルブミン/クレアチニン比
- 尿タンパク/クレアチニン比
問229
この患者が内科で出された処方箋を持って家族と来局した。この患者に服薬指導した際に、家族から食生活に関する質問があり、食塩の摂取を控えるよう助言した。
薬剤師が腎臓病に関連するリスク因子について論文検索したところ、食塩摂取量と末期腎不全 (End Stage Renal Disease:ESRD) 発症との関連性について検討した論文があった。
その論文においては、慢性腎臓病の患者 500 人のうち、100 人が ESRD を発症し、食塩 6.0 g/日以上を摂取していた患者は 85 人であった。また、ESRD を発症した 100 人のうち、食塩 6.0 g/日以上を摂取していた患者が 20 人であった。
食塩摂取 (6.0 g/日以上) による ESRD 発症のオッズ比として最も近い値はどれか。1 つ選べ。
- 1.3
- 2.3
- 3.7
- 4.1
- 4.9
問228:3, 5
問229:1
解 説
問228
【慢性腎臓病の重症度分類:CGA 分類】
原因 (Cause: C):糖尿病 or それ以外
糸球体濾過量 (GFR: G):G1,G2,G3a,G3b,G4,G5 慢性透析中は D
蛋白尿 (Albuminuria: A):A1,A2,A3 糖尿病原因以外は 尿蛋白/Cr 比 で評価
糖尿病 G2 A3 のように表記します。
必要な検査データは 2 つあります。1 つ目は、GFR を推定するための「eGFR」です。また、検査データから糖尿病ではないため、必要なデータの 2 つ目は、尿タンパク/クレアチニン比です。
以上より、問 228 の正解は 3,5 です。
問229
オッズ比を求めるために、2 × 2 分割表を作ります。
以下のようになります。

オッズ比は
(20 × 335)/(65 × 80) ≒ 1.3 です。
以上より、問 229 の正解は 1 です。
参考 症例対照研究、オッズ比
https://yaku-tik.com/yakugaku/es-2-3-4/

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