薬剤師国家試験 第110回 問242-243 過去問解説

 問 題     

ある高校で、夏休み前の 7 月に野球大会を開催することとなった。大会当日に、熱中症を防止する目的で、体育の教諭がグラウンドの中央付近の高さ約 1 m の地点で、乾球温度計及び黒球温度計を用いて温度を測定した。また、同時に電気式湿度計で相対湿度を測定した。

午前 8 時及び午後 2 時の測定結果を表 1 に示した。

問242

午前 8 時及び午後 2 時の暑さ指数 (WBGT) の値に最も近いのはどれか。1 つ選べ。

ただし、気圧は標準気圧とする。また、屋外での WBGT は次式で求められ、湿球温度は表 2 から求めるものとする。

WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度

  • 午前8時  午後2時
  1.   25    22
  2.   25    28
  3.   27    24
  4.   27    30
  5.   29    26
  6.   29    32

問243

野球大会当日、複数の生徒が体調不良を訴え、保健室で手当てを受けた。この高校では、教育委員会が作成した「学校における熱中症対策ガイドライン」をもとに今後の対策を話し合うこととなり、熱中症を防止するために必要な注意事項について学校薬剤師に助言を求めた。

学校薬剤師が学校に対して行う助言の内容として、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. 乾球温度と気動が同じ場合には、湿球温度が高いほど熱中症のリスクは減少する。
  2. WBGT の算出に用いる黒球温度は、紫外線の影響を最も強く受ける。
  3. 乾球温度が高い場合には、風があっても感覚温度が下がらないことがある。
  4. 体育館内の競技では、熱輻射の影響が無いので熱中症のリスクはない。
  5. 体が暑さに慣れていない時期は、熱中症のリスクが高まる。

 

 

 

 

 

正解.
問242:3
問243:3, 5

 解 説     

問242

表 2 より
午前 8 時:乾球温度 28 ℃、相対湿度 80 % であれば
湿球温度は 25 ℃ です。

午後 2 時:乾球温度 32 ℃、相対湿度 30 % であれば
湿球温度は 19 ℃ です。


与えられた式より

午前 8 時の WBGT = 0.7 × 25 + 0.2 × 34 + 0.1 × 28 = 27.1
午後 2 時の WBGT = 0.7 × 19 + 0.2 × 38 + 0.1 × 32 = 24.1


以上より、問 242 の正解は 3 です。

類題 109-140
https://yaku-tik.com/yakugaku/109-140/

問243

選択肢 1 ですが
乾球温度と気動が同じであれば、湿球温度が高いほど汗が蒸発しづらく、熱中症リスクが「増加」します。「減少」ではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが

黒球温度は輻射熱の影響度を表します。輻射熱は、熱が赤外線として伝わるものです。「紫外線」ではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 は妥当です。

風さえ暑く感じた日があるのではないでしょうか。


選択肢 4 ですが

室内であっても熱中症のリスクはあるため、注意が必要です。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は妥当です。


以上より、問 243 の正解は 3,5 です。

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