問 題
30 歳男性。以下の処方 1 ~ 3 が記載された処方箋を持って薬局を訪れた。この薬局では、1 名の薬学生が実習中であった。

問246
処方 1 ~ 3 のいずれかの薬物に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- ドパミン D2 受容体に部分アゴニストとして作用することで、ドパミン神経系を安定化させる。
- ヒスタミン H1 受容体及びアドレナリン α1 受容体を刺激することで、統合失調症の陰性症状を改善する。
- ドパミン D2 受容体を遮断することで、統合失調症の陽性症状を改善する。
- γ – アミノ酪酸 GABAA 受容体のベンゾジアゼピン結合部位に結合することで、睡眠を誘発する。
- メラトニン MT1 及び MT2 受容体を刺激することで、睡眠-覚醒リズムを正常化する。
問247
指導薬剤師は、実務実習生に下表の換算値を用いて経口抗精神病薬のクロルプロマジン換算量を算出する課題を出した。この患者の 1 日分のクロルプロマジン換算量はどれか。1 つ選べ。

- 300 mg
- 480 mg
- 660 mg
- 750 mg
- 900 mg
問246:3, 5
問247:4
解 説
問246
処方 1 ~ 3 の各薬剤と作用は以下の通りです。
これらは基礎知識です。
処方 1:
リスペリドン → SDA (serotonin-dopamine antagonist) 、D2 及び 5-HT2 受容体遮断
スルピリド → D2 受容体遮断
処方 2:
ハロペリドール → D2 受容体遮断
処方 3:
ラメルテオン → メラトニン受容体刺激
選択肢 1 ですが
D2 受容体 部分アゴニストとして作用するのは、アリピプラゾールなどです。処方 1 ~ 3 のいずれかの薬物に関する記述ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
H1、α1 受容体にも作用するのは、オランザピンなどです。処方 1 ~ 3 のいずれかの薬物に関する記述ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
リスペリドン、スルピリド、ハロペリドールが該当します。
選択肢 4 ですが
ベンゾジアゼピン系薬物の作用機序です。処方 1 ~ 3 のいずれかの薬物に関する記述ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
ラメルテオンについての記述です。
以上より、問 246 の正解は 3,5 です。
問247

処方 1 について
リスペリドン 1 mg が クロルプロマジン 100mg 相当です。1 日分が 1mg × 3 錠なので リスペリドン 3 mg → クロルプロマジン 300 mg 相当となります。
スルピリド 200 mg が クロルプロマジン 100 mg 相当です。1 日分が 100mg × 3 錠なので スルピリド 300 mg → クロルプロマジン 150 mg 相当です。
処方 2 について
ハロペリドール 2 mg が クロルプロマジン 100 mg 相当です。1 日分が 「細粒 1% 0.6g」・・・(1) です。(1) の中にハロペリドールは 0.6 × 0.01 = 0.006 g = 6 mg 含まれます。ハロペリドール 6 mg → クロルプロマジン 300 mg 相当です。
従って
300 + 150 + 300 = 750 mg となります。
以上より、問 247 の正解は 4 です。

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