問 題
70 歳女性。20 年前に糖尿病と診断され、通院加療していたが、内服薬のみでのコントロールが困難となり、インスリン導入目的で入院となった。インスリンを使用し、血糖コントロールが良好となったため、まもなく退院できる見込みである。
患者より、インスリン投与前に自己検査用グルコース測定器(注) を用いて行う血糖自己測定について退院前に再度説明して欲しいとの訴えがあった。
患者に困ったことはないか質問すると、穿刺後血液が少ししか出ないことや、「測定できません」と表示され再検査しなければならないことが多くて困るとのことであった。
(注) この患者が使用している自己検査用グルコース測定器:以下に特徴を列記し、形状等を図で示す。
- 医療機器承認番号が付されている。
- 高度管理医療機器である。
- 特定保守管理医療機器である。

問306
この患者への説明として適切なのはどれか。2 つ選べ。
- 指に糖分などがついていると測定結果に影響が出るため、穿刺前は手を流水で洗ってください。
- 消毒した指はよく乾かしてから穿刺してください。
- 穿刺前に指先を冷やすと血液が出やすくなります。
- 穿刺しても血液が出ない場合は、指先を強く押して血液を絞り出してください。
- 1 回の穿刺で血液が測定用チップに十分に吸引できず測定できなかった場合は、新たに穿刺し、同じチップに血液を追加で吸引してください。
問307
この患者が使用している医療機器の制度上の取扱いについて、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 薬局で販売する場合には、薬局開設の許可のほかに、該当する分類の医療機器販売業の許可を受ける必要がある。
- 不具合が原因となり健康被害が生じた場合、健康被害救済制度の救済給付の対象となる。
- 医療従事者だけでなく一般の人が自宅などでも使用できる医療機器であることから、一般医療機器に分類される。
- 厚生労働大臣に製造販売の届出を行った医療機器である。
- 保守点検、修理その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とする医療機器である。
問306:1, 2
問307:1, 5
解 説
問306
選択肢 1,2 は妥当です。
穿刺前の注意事項です。
選択肢 3 ですが
指先を冷やすと血管は収縮するため血流量は減少します。血液は出にくくなります。選択肢 3 は誤りです。
ホットタオルやカイロで指先を温めたり、指の付け根から指先に向けて軽くマッサージをしておくことで末梢血管が拡張し、血流が増加して検査用血液を得やすくなります。
選択肢 4 ですが
穿刺しても血液が出ない場合、指先を「軽く」押し、血液が球状になるように出します。「強く」押して絞り出してしまうと細胞間液も含まれて血液が薄まり、検査結果が不正確になるといった懸念があります。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
新しいチップを使うように説明します。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 306 の正解は 1,2 です。
問307
高度管理医療機器とは、コンタクトレンズ、ペースメーカーなどです。特定保守管理医療機器とは、保守点検、修理などに、専門的な知識及び技能を必要とするもののことです。眼圧計や吸引器などが代表例です。共に販売には、薬事法に基づく販売業の許可が必要です。
選択肢 1 は妥当です。
販売業の許可が必要です。
選択肢 2 ですが
医療機器の不具合が原因となり健康被害が生じた場合、不具合等報告制度がありますが「健康被害救済制度の救済給付対象」とはなりません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
一般医療機器とは、生命や健康に影響を与えるおそれがほとんどない医療機器のことです。絆創膏などが例としてあげられます。自己検査用グルコース測定器は 高度管理医療機器に分類されます。一般用医療機器ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
医療機器承認番号が付されている とあるため、単なる「届出」ではなく「承認」された医療機器です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
特定保守管理医療機器についての記述です。
以上より、問 307 の正解は 1,5 です。

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