問 題
50 歳女性。身長 155 cm、体重 48 kg。B 型肝炎の既往あり。起床時の手指関節のこわばり、肘関節、膝関節の痛みを主訴として受診し、関節リウマチと診断され、処方 1 と処方 2 の薬剤で治療していた。
その後、炎症がコントロールできず、受診した際に注射薬の追加が提案されたが、患者から「自分で注射するのは怖い。病院内で点滴してほしい。」との要望があったため、処方 3 が追加されることとなった。
なお、処方 3 の薬剤は、製造販売業者から卸売販売業者を経て、納入されたものである。

問308
処方 3 の薬剤を投与開始するにあたり、この患者に行う説明として適切なのはどれか。2 つ選べ。
- この薬は、免疫の異常に対して働き、関節の痛みや腫れなどの症状を改善し、関節の破壊を防止します。
- 点滴中に息苦しくなることがありますが、一定時間安静にすれば回復しますので心配いりません。
- この薬の投与によって B 型肝炎の再燃のリスクがありますので、定期的な検査が必要です。
- 命にかかわるような副作用は報告されていない安全なお薬です。
- 点滴治療開始後は、同一成分の自己注射を希望しても変更することはできません。
問309
処方 3 の関節リウマチ治療薬の規制に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- この薬剤を使用した医療機関の開設者の氏名及び住所は、卸売販売業者から製造販売業者に報告される。
- 直接の容器・被包には、白地に赤枠、赤字で「生物」の文字が記載されている。
- 取り扱う医療関係者は、使用対象者の氏名、住所等の記録を保存しなければならない。
- 製造販売業者は、製造に用いた生物による感染症に関する最新の論文を知ったときは、15 日以内に厚生労働大臣に報告しなければならない。
- 注意事項等情報 (添付文書) 又は直接の容器・被包には、製造に用いた生物の名称が記載されている。
問308:1, 3
問309:1, 5
解 説
問308
選択肢 1 は妥当です。
アバタセプトに関する説明です。
選択肢 2 ですが
点滴中の息苦しさは、アナフィラキシーのような強いアレルギー反応の可能性があります。そのため、すぐに知らせてもらうように説明します。「一定時間安静にすれば回復しますので心配いりません」という説明は不適切です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
免疫抑制効果があるため、B 型肝炎再燃リスクがあります。
選択肢 4 ですが
敗血症や肺炎などの命にかかわる副作用が報告されています。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
明確な知識として知っていた人はあまり多くないのではないかと思われる内容です。
判断のための思考として例えばですが「点滴の経験を通じて、薬への恐怖感が薄れると同時に通院が手間になった」「引っ越しなどで病院が遠くなった」といった事例を考えた際に、特に自己注射に変更するデメリットはなく、変更できるのではないか… と考えるとよいかと思われます。
「点滴治療開始後、同一成分の自己注射に変更できない」わけではありません。切り替えることができます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 308 の正解は 1,3 です。
問309
選択肢 1 は妥当です。
選択肢 2 ですが
白地に「黒」枠、「黒」字 です。「白地に赤枠、赤字」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
使用対象者の氏名、住所等の記録保存義務はありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
薬機法 第六十八条の二十四 生物由来製品に関する感染症評価報告 に関する記述です。従来の 6 ヶ月 報告に加え
①人に感染すると認められる疾病 かつ 既知感染性疾病とその病状 又は 治療結果が明らかに異なるものに関する研究報告・措置を知った
②人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれある疾病に関する研究報告・措置を知った
場合において
15 日以内ではなく 30 日以内の報告期限が新設される予定です。
新設予定の内容を含めてみても「15 日以内に厚生労働大臣に報告しなければならない」は誤りです。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
製造に用いた生物の名称が記載されています。
以上より、問 309 の正解は 1,5 です。

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