問 題
68 歳男性。身長 172 cm、体重 63 kg。高血圧症及び慢性心不全のため処方 1 の薬剤を服用していた。今回の受診で血圧が 164/90 mmHg を示し、処方 2 へ変更となり、処方箋を持って薬局を訪れた。
薬局にて患者に服薬指導を行い薬を渡し、調剤録と薬剤服用歴の記載を行った。薬剤服用歴の P (計画) 欄に、「30 日処方のため、服用 15 日後に電話にてフォローアップを行う。(本人の了承済)」と記載した。

問312
このフォローアップを行う際、血圧の値以外に優先して確認すべき症状や状態はどれか。2 つ選べ。
- 動悸やふらつきの出現
- 歯ぐきからの出血の出現
- まぶしさの出現
- 口内炎の出現
- 体重の急な増加
問313
保険薬局における薬剤服用歴と調剤録(注) に関する内容として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
(注) 薬剤師法で規定されている調剤録
- 調剤後、患者の薬剤の使用状況を継続的に把握し、その際指導した内容は、処方箋が調剤済みの場合、調剤録への記入事項に該当しない。
- 調剤録は、調剤した薬剤師ではなく、薬局の管理者が記載しなければならない。
- 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない。
- 薬剤服用歴の記録・管理の実施は、薬局の義務であり、調剤報酬の対象とはならない。
- 保険薬剤師が調剤を行う場合は、患者の服薬状況及び薬剤服用歴を確認しなければならない。
問312:1, 5
問313:3, 5
解 説
問312
降圧剤であるバルサルタン増量なので、降圧作用増強に伴うめまい、ふらつき等が出ていないか確認すべきです。選択肢 1 が妥当です。もう 1 つが選びづらい問題である印象です。
選択肢 2 ですが
出血傾向が強く出ていないかの確認事項と考えられます。本処方では優先度が低いと考えられます。
選択肢 3 ですが
抗コリン作用を有する薬における散瞳作用が強く出ていないかの確認事項と考えられます。本処方では優先度が低いと考えられます。
選択肢 4 ですが
免疫抑制剤や抗がん剤の副作用についての確認事項と考えられます。本処方では優先度が低いと考えられます。
消去法で もう 1 つ選ぶなら選択肢 5 と考えるのが、本試験における現実的な解き方ではないかと思われます。「心不全悪化に伴う 体内水分貯留増加による急激な体重増加」を懸念しての確認事項と考えられます。
以上より、問 312 の正解は 1,5 です。
問313
選択肢 1 ですが
調剤後の、患者の薬剤使用状況等の継続的把握は「服薬フォローアップ」と呼ばれます。本試験時点において、服薬フォローアップの記録は調剤録記載義務があります。ただし、必要事項記載があれば薬歴や調剤済処方箋への記載でもかまいません。「調剤録への記入事項に該当しない」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
保険薬剤師は、患者の調剤を行った場合には、遅滞なく、調剤録に当該調剤に関する必要な事項を記載しなければなりません (薬担規則 第 10 条)。「薬局の管理者が記載」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
薬剤師法第 28 条です。
選択肢 4 ですが
本試験時点において、調剤報酬は「調剤技術料」「薬学管理料」「薬材料」「特定保険医療材料料」の 4 つで構成されています。「薬剤服用歴の記録・管理の実施」は薬学管理料に含まれます。「薬剤服用歴の記録・管理の実施は・・・調剤報酬の対象とはならない」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
薬担規則 第 8 条 2 項の内容です。
以上より、問 313 の正解は 3,5 です。

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