国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問89解説

 問 題     

真核生物の細胞骨格に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ 真核生物の鞭毛や繊毛は、中間径フィラメントが束になった構造であり、中間径フィラメント上を移動するモータータンパク質が鞭毛や繊毛の屈曲運動を生み出す。

㋑ 動物細胞の核膜は、アクチンフィラメントの平面的な網目構造により内面を覆われており、有糸分裂の際には、この網目構造は一度脱重合し、再形成される。

㋒ 動物細胞では、チューブリンの重合体である微小管が細胞の中心体から細胞周辺部に広がり、細胞小器官を運んだりそれらの位置を定めたりする機能を担っている。

㋓ 動物細胞では、細胞質分裂の際、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントを主として形成された収縮環が収縮することにより、細胞質が分裂する。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
鞭毛や繊毛は「9 + 2」の「微小管」を核として、およそ 500 〜 800 種類のタンパク質から構成される 小器官の一つです。「中間径フィラメントが束になった構造」ではありません。㋐ は誤りです。

㋑ ですが
核膜の内側に存在する網状構造は「核ラミナ」です。中間径フィラメントタンパク質のラミンがラミナと呼ばれる網目構造を形成します。「アクチンフィラメントの平面的網目構造により内面を覆われて」いるわけではありません。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
チューブリン重合体である微小管についての記述です。

㋓ は妥当です。
細胞質分裂についての記述です。ちなみに、植物細胞の細胞質分裂においては、細胞板が成長して 2 つの細胞を仕切ります。


以上より、正解は 5 です。

類題 R1no89 細胞接着、細胞結合
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-r1-89/

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