国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問85解説

 問 題     

被子植物の発生に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ 精核のうち一つは卵核と合体して 2n の受精卵の核を形成し、もう一つは極核と合体して 3n の胚乳核を形成する。このような受精形式を重複受精という。

㋑ ホメオティック遺伝子である ABC 遺伝子群は転写因子をコードしており、花器官のアイデンティティを指定する。

㋒ オーキシンは、転写リプレッサーである Aux/IAA タンパク質のユビキチン化と分解を抑制して遺伝子発現を変化させることで、植物の発生と成長を抑制する。

㋓ シロイヌナズナの初期発生において形成されるシュートは、根端部内の分裂組織に存在する細胞群から形成される。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
重複受精についての記述です。

㋑ は妥当です。
花の形成のしくみである ABC モデルについての記述です。

㋒ ですが
オーキシンは、主に植物の成長 (伸長成長) 「促進」作用を持つ植物ホルモンの一群です。「植物の発生と成長を抑制」ではありません。㋒ は誤りです。ちなみに、オーキシンと結合した受容体が「転写抑制因子 (Aux/IAA) を分解」して、成長促進です。

㋓ ですが
シュートは、茎とその上にできる多数の葉からなる単位です。シロイヌナズナのシュートは「根端部内の分裂組織に存在する細胞群から」ではなく、「茎の先端部分内」が妥当であり、㋓ は妥当ではないと考えられます。


以上より、正解は 1 です。

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