国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問83解説

 問 題     

ムラサキウニの卵の受精に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ 0.2 % 塩化アセチルコリン溶液を口に注入すると卵巣又は精巣の筋肉収縮が起こり、速やかに生殖孔から卵又は精子が放出される。

㋑ 受精後、卵は、速い多精拒否として卵内外の静止膜電位を正から負へと変化させる。

㋒ 受精後、卵は、遅い多精拒否としてセリンプロテアーゼなどの表層顆粒を放出し受精膜を形成する。

㋓ 精子進入点から卵細胞内の Ca2+ 濃度が急激に増加し卵の逆端まで広がる。この Ca2+ の刺激により IP3 が産生され卵割が開始される。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
精子は白く、卵は黄色く見えます。

㋑、㋒ ですが
受精後の「速い多精拒否」の実体は、Na+ の流入です。静止電位は負、Na+ 流入により電位は正になります。㋑ は「負から正」が妥当と考えられます。遅い多精拒否に関する ㋒ は妥当です。

㋓ ですが
精子の卵内への進入後、精子頭部が精核となって卵核と合体して受精が完了します。その後に卵割開始です。精子進入 → 進入点からカルシウムイオンウェーブが広がるという点は妥当ですが、それで卵割開始ではないと考えられます。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

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