国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問80解説

 問 題     

核酸の定量法に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ 核酸の電気泳動に使用するポリアクリルアミドゲルは、数百 bp 以上の比較的大きな核酸の分離に用いられる。

㋑ リアルタイム PCR における相対定量法の一つである DDCt 法 (比較 Ct 法) は、目的遺伝子と内在性コントロール遺伝子の増幅効率が異なる場合も正確に定量できる。

㋒ 分光光度計を用いた核酸の定量では一般的に 260 nm の波長を用いる。このときの吸光度が 1 の場合、RNA の濃度は 40 ng/mL となる。

㋓ 放射性核種を用いた in situ ハイブリダイゼーション法は、組織中の mRNA の発現分布を調べるのに用いられる。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
核酸の電気泳動には、アガロースゲルやポリアクリルアミドゲルが用いられます。これらはターゲットの塩基数で使い分けます。ポリアクリルアミドは、1000 bp 未満の核酸の分離に適しています。「比較的大きな核酸の分離に用いられる」のはアガロースゲルが妥当です。㋐ は誤りです。


㋑ ですが

リアルタイム PCR とは、PCR によって DNA サンプルの特定領域を 2 倍、4 倍… と増幅させつつ、増幅過程を リアルタイムで検出する手法です。モニターで見ていると DNA 量を表す線が少しずつ上昇していく という形で、リアルタイムで見れます。

比較 Ct 法は、DNA サンプル量を知りたいと思った時に、増え方が同じような比較対照となる DNA と一緒に PCR にかける方法です。そのため、PCR による DNA の増幅効率が異なると、正確な定量はできません。㋑ は誤りです。


㋒ は妥当です。

一般的に波長 260 nm にて吸光度 1 を示す場合、二本鎖 DNA (dsDNA) は 50 μg、一本鎖 DNA (ssDNA) は 33 μg、RNA は 40 μg に相当します。


㋓ は妥当です。

in situ は「その場で」といった意味です。ハイブリダイゼーションは、遺伝子工学の分野では「核酸の分子が相補的に複合体を形成すること」を意味します。


以上より、正解は 5 です。

類題 R1no80 リアルタイム PCR
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-r1-80/

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