国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問78解説

 問 題     

微生物の代謝に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。


㋐ 代謝は同化と異化の二つに分けられ、外部から取り込んだ物質を分解する代謝を異化という。

㋑ 酸素を最終電子受容体とする呼吸を好気呼吸といい、酸素以外の無機化合物を最終電子受容体とする呼吸を発酵という。

㋒ 乳酸菌は、グルコースから変換されたピルビン酸を還元して、乳酸を生成する。

㋓ ペントースリン酸経路は、グルコース代謝経路の一つであり、生合成反応に必要なNADHや、核酸の合成に必要なリボース5‒リン酸などの供給系である。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

【異化と同化 基礎知識】
環境から物質を取り入れて、生体内において物質を化学変化させることを代謝といいます。代謝は大きく2つに分類されます。大きく複雑なものを簡単な物質に分解し、エネルギーを取り出す異化と、簡単な物質から大きく複雑な物質を作る同化です。


㋐ は妥当です。

異化についての記述です。

㋑ ですが
「酸素以外の無機化合物を最終電子受容体とする呼吸」は「嫌気呼吸」です。嫌気呼吸の一種で、微生物で見られる嫌気呼吸を「発酵」と呼びます。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
乳酸菌による乳酸発酵についての記述です。

 

㋓ ですが
ペントースリン酸回路は、細胞質内で進行するグルコース-6-リン酸 (以下、G6P) を出発点とし、リボース-5-リン酸 等の 5 炭糖 及び 「NADPH」 を生成する回路です。NADH ではありません。㋓ は誤りです。

ちなみに、できた 5 炭糖は、ホスホリボシルピロリン酸(PRPP)となり、ヌクレオチド(糖+塩基+リン酸 DNAやRNA の構成単位) の原料として用いられます。


以上より、正解は 2 です。

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