国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問66解説

 問 題     

土壌の窒素循環に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。


㋐ 畑土壌における硝化作用は主に 2,3 種類の従属栄養細菌の働きによるものであり、pH など土壌環境の影響を大きく受ける。

㋑ 微生物による有機物の分解で生成・放出されるアンモニア態窒素の量は、有機物の窒素含有量だけでなく、炭素含有量の影響も大きく受ける。

㋒ 土壌が嫌気的な状態になると、硝酸態窒素が還元されて主にアンモニアに変化し、大気へ揮散する。

㋓ 硝酸態窒素はアンモニア態窒素よりも雨水や灌漑水によって土壌から溶脱しやすい。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
硝化作用を担う細菌の 1 群である硝化菌 (硝酸化成菌) は、化学合成「独立栄養」細菌です。従属ではありません。㋐ は誤りです。ちなみに「pH など土壌環境の影響を大きく受ける」という部分は妥当です。

㋑ は妥当です。
いわゆる C/N比 に関する記述です。

㋒ ですが
土壌が嫌気的な状態 → O が少ない → 還元が進み 硝酸態窒素が アンモニアに変化 という流れは妥当です。しかし、アンモニアは水溶性なので、NH4+ として土壌水中に留まったりします。また、アンモニウムイオンが陽イオンなので、土壌コロイドに吸着されてとどまったりします。「大気へ揮散」するわけではありません。㋒ は誤りです。

㋓ は妥当です。
硝酸イオン NO3 が陰イオンなので、陽イオンであるアンモニア態窒素よりも溶脱しやすいです。


以上より、正解は 4 です。

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