国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問41解説

 問 題     

次に示すブロモバレリル尿素 (C6H11BrN2O2、分子量 223.07) は睡眠薬として用いられている。第十八改正日本薬局方では、その定量法について次のように規定されている。

「定量法  本品を乾燥し、その約 0.4 g を精密に量り、300 mL の三角フラスコに入れ、水酸化ナトリウム試液4 0 mL を加え、還流冷却器を付け、20 分間穏やかに煮沸する。冷後、水 30 mL を用いて還流冷却器の下部及び三角フラスコの口部を洗い、洗液を三角フラスコの液と合わせ、硝酸 5 mL 及び ①正確に 0.1 mol/L 硝酸銀液 30 mL を加え、過量の硝酸銀を 0.1 mol/L チオシアン酸アンモニウム液で滴定する (指示薬: A 2 mL) 。同様の方法で空試験を行う。

0.1 mol/L 硝酸銀液 1 mL = B mg C6H11BrN2O2


この定量法及び滴定に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 下線部 ① で生成する沈殿は、チオシアン酸銀である。

㋑ 滴定終点では溶液が赤色を呈する。

㋒ A はフルオレセインナトリウム試液である。

㋓ B は 22.31 である。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
下線部 ① で生成する沈殿は AgBr です。チオシアン酸銀ではありません。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。
Ag+ + SCN が反応しきると、Fe3+ と SCN が反応して血赤色となります。

㋒ ですが
フルオレセインは、ファヤンス法に用いられる指示薬です。吸着指示薬の一種です。ファヤンス法は、塩素含有化合物 か ヨウ素含有化合物を対象とする沈殿滴定法です。臭素ではありません。㋒ は誤りです。ちなみに A は「硫酸アンモニウム鉄 (Ⅲ)」です。

㋓ は妥当です。
AgNO3 と ブロモバレリル尿素が 1:1で反応すると考えられます。そのため、ブロモバレリル尿素 0.1 m mol あたりの 22.307 ≒ 22.31 mg が B の値です。


以上より、正解は 5 です。

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