国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R5年 問33解説

 問 題     

次の㋐、㋑、㋒の記述と記号の組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし、それぞれの反応は同じ条件で行っているものとする。

㋐ 次の化合物のうち、SN1 反応における反応性が高いもの。

㋑ 次の化合物のうち、SN2 反応における反応性が高いもの。

㋒ 次の化合物のうち、芳香族求核置換反応における反応性が高いもの。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
SN1 反応なので、中間体である「脱離基が抜けた時のカルボカチオンの安定性」を比較します。すると、二重結合がある B の方が共鳴構造が描けて、正電荷を非局在化することができる構造です。より安定と考えられます。従って、㋐ は B です。正解は 3 ~ 5 です。


㋑ ですが
A の構造は C = O の炭素が δ なので、負電荷を帯びた酸素の電子が少し炭素側に引っ張られてしまい、負電荷が弱まる構造と考えられます。そのため、B の方が比較的負電荷大 → より強い塩基として求核攻撃の反応性が高い と考えられます。従って、㋑ は B です。正解は 4 or 5 です。


㋒ ですが
芳香族求核置換反応なので、まず求核剤 Nu: が、ハロゲン結合しているイプソ炭素に攻撃して、マイゼンハイマー錯体を形成します。この中間体の安定性を考えればよいです。p 位に ニトロ基がある方が負電荷を非局在化することができる構造です。従って、㋒ は B です。

脱離基のオルト位またはパラ位に 強力な電子求引基 (通常ニトロ基) が存在するのが、芳香族求核置換反応 (SNAr) の必要条件とおさえておくとよいです。


以上より、正解は 5 です。

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