国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問105解説

 問 題     

動物の行動に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 餌や営巣場所などのように、獲得したり確保したりすることでその個体の適応度を高めるものを資源と呼ぶ。そのため、雌や雄も異性の個体からみれば資源である。

㋑ 鳥類などにおいて同腹の兄弟間競争が生じるのは、親にとって最も生産性の高い1 回の繁殖当たりの子の数が、それぞれの子の適応度を最大化するとは限らないからである。

㋒ 個体が最適な餌場利用の原則に従って複数の餌場を移動しながら採餌するとき、他の条件が同じであれば、各餌場で得られる時間当たりのエネルギー量の平均値が小さいほど、餌場での滞在時間が短くなる。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋑、㋒
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
資源についての記述です。

㋑ は妥当です。
鳥類などの兄弟間競争についての記述です。

㋒ ですが
個体は全ての餌場における時間あたりエネルギー量の平均値を全てあらかじめ知っているわけではありません。そのため、それまでの経験に基づいた判断をふまえ、単純に「各餌場で得られる時間当たりのエネルギー量の平均値が小さいほど、餌場での滞在時間が短くなる」わけではないと考えられます。

例えばですが、「時間あたりあるエネルギー量以下であれば次の餌場へ行く」という戦略で移動している場合を考えます。すると、時間あたりエネルギー量の平均値がある程度高い餌場において、偶然あまりエネルギー量を得られなかった時に、次の餌場へすぐ行ってしまいます。つまり、時間当たりのエネルギー量の平均値が高い所で滞在時間が短くなるという例が考えられます。㋒ は妥当ではありません。


以上より、正解は 2 です。

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