国家公務員総合職（化学・生物・薬学）R4年 問92解説

　問 題　　　　　

哺乳動物の脳神経に関する記述 ㋐ ～ ㋓ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐　脳内の細胞では神経伝達を担う神経細胞が最も多く、神経細胞の機能を支えるグリア細胞はわずかに存在するのみである。

㋑　神経細胞は、短く枝分かれした樹状突起からシグナルを受け取り、長く伸びた軸索を介して他の細胞にシグナルを伝える。

㋒　神経細胞は、活動電位によって生じる電気シグナルだけでなく、神経伝達物質による化学シグナルも介して情報を伝える。

㋓　神経伝達物質であるグルタミン酸や GABA (γ ‒ アミノ酪酸) がシナプス後膜上の受容体に結合すると、脱分極が生じる。

1．㋐、㋑
2．㋐、㋒、㋓
3．㋐、㋓
4．㋑、㋒
5．㋑、㋓

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

㋐ ですが
脳のような中枢において、神経伝達を担うニューロンの占める割合は 10 ~ 20% と推測されています。大部分はグリア細胞が占めています。「神経細胞の機能を支えるグリア細胞はわずかに存在するのみ」ではありません。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。
哺乳動物の神経細胞に関する記述です。

㋒ は妥当です。
神経細胞同士の間隙であるシナプスにおいて、神経伝達物質により情報伝達が行われます。

㋓ ですが
グルタミン酸の場合は脱分極、GABA の場合は過分極です。㋓ は誤りです。

以上より、正解は 4 です。