国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問34解説

 問 題     

次に示す有機合成反応において,㋐~㋓に当てはまる反応試薬の組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし,各反応では適切な後処理が行われたものとし,化合物3 , 4 は設問の都合上伏せてある。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
1,2 – ジメトキシベンゼンに、ニトリル基が付加しています。

選択肢 1,2 では
1) が ガッターマン・コッホ反応 (Gattermann-Koch Reaction) です。アルデヒド基が導入されます。2) でニトロアルカンを加えても、ニトリル基に変換されないと考えられます。選択肢 1,2 は誤りです。

選択肢 5 では
1) で フリーデル・クラフツ反応により、アセチル基が導入されます。2) で アミンを加えても、ニトリル基に変換されないと考えられます。選択肢 5 は誤りです。

従って、㋐ は 1) HCOH,HCl 2) KCN です。
正解は 3 or 4 です。


㋑ ~ ㋓ ですが
化合物 4,5 が縮合して 6 ができている所に注目すれば、化合物 4 は -NH2 を有する アミンと考えられます。すると、㋒ は LiAlH4 が妥当です。ニトリル基の還元により -NH2 に変換されます。これにより、㋑ は HCl,H2O、㋓ は PCl5 とわかります。 2 → 3 → 5 はニトリルの酸触媒による加水分解で カルボン酸生成 → 五塩化リンによる塩素化 です。


以上より、正解は 4 です。

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