国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問83解説

 問 題     

胚発生を理解する上で適したモデル生物であるショウジョウバエのホメオティック遺伝子(群)に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 中胚葉由来の体節にアイデンティティをもたらす遺伝子群であり、前後軸に沿った身体の構造をつくる。

㋑ 標的遺伝子のゲノム DNA に結合する際に重要な役割を担う、ホメオドメインと呼ばれる保存性の高い 180 塩基対が存在する。

㋒ バイソラックス複合体は胚の前方領域、アンテナペディア複合体は後方領域のアイデンティティを制御している。

㋓ 脊椎動物においても、配列のみならず、発現順序、機能が類似した遺伝子群が存在している。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ は妥当です。
ホメオティック遺伝子についての記述です。

㋑ ですが
ホメオドメインをコードする「ホメオボックス」と呼ばれる 保存性の高い 180 塩基対が存在します。「ホメオドメインと呼ばれる…塩基対」ではありません。㋑ は誤りです。

ホメオボックスを持つ遺伝子はホメオボックス遺伝子と呼ばれ、ゲノム中に特徴的なクラスターを形成している Hox 遺伝子群と、Hox 以外のゲノム中に散在する non – Hox遺伝子に大別されます。


㋒ ですが

頭部から胸部にかけての構造を決定するホメオティック遺伝子が「アンテナペディア複合体」です。一方、胸部から尾部にかけての構造を決定するホメオティック遺伝子が「バイソラックス複合体」です。「バイソラックス」と「アンテナペディア」が逆です。㋒ は誤りです。

㋓ は妥当です。


以上より、正解は 3 です。

類題 H29no85 発生に関わる転写因子
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-29-85/

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