国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問79解説

 問 題     

しょうゆ醸造に利用される微生物に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ しょうゆ醸造における麹菌の主な役割は、原料である大豆や小麦に含まれるタンパク質やデンプンの分解に必要な酵素の供給である。

㋑ しょうゆ醸造では、pH を低く保ち雑菌汚染を防止する目的で、しょうゆの風味に影響しない乳酸菌を利用している。

㋒ しょうゆ醸造に利用される主な酵母は、高いアルコール発酵能を有するSaccharomyces cerevisiae である。

㋓ しょうゆもろみでは複数の微生物の活動が観察されるが、これらはもろみ初期から同時に活動するのではなく、その役割に応じて活動する時期が異なっている。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
麹菌に関する記述です。

㋑ ですが
乳酸菌によって、糖分の一部を様々な有機酸に変えることで、しょうゆに酸味と味の伸びや深みを与えます。「しょうゆの風味に影響しない」わけではありません。㋑ は誤りです。

㋒ ですが
Saccharomyces cerevisiae (サッカロマイセス・セレビシエ) は出芽酵母です。ビール酵母やパン酵母です。しょうゆ醸造に利用される主な酵母は、耐塩性の酵母 Zygosaccharomyces rouxii (チゴサッカロミセス・ルーキシィ いわゆる白カビ) や Candida versatilis (キャンディダ・バーサチリス) などの Candida 属の耐塩性酵母 です。㋒ は誤りです。

㋓ は妥当です。
まず乳酸菌、次が酵母菌といった流れです。


以上より、正解は 2 です。

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