国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問65解説

 問 題     

土壌中の粘土鉱物に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 層状ケイ酸塩鉱物に富む非アロフェン質黒ボク土の農地では、作物にアルミニウム過剰障害が現れやすい。

㋑ 湿潤条件下において、イライトは層荷電が低く層間へ水分子が侵入しやすいため膨張する。一方、スメクタイト群は、層間に捕捉されたカリウムが水分子の侵入を阻害するため膨張しない。

㋒ 火山灰土に広く見いだされるアロフェンは、水分保持力及びリン酸固定能が高い。

㋓ 二次鉱物として層状ケイ酸塩鉱物を多く含む土壌では、一般に、陰イオン吸着能が発現するため酸性化に対する緩衝作用が現れる。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
アロフェンは、直径 4 〜 5 nm の中空状の構造をもつ、非常に小さな粘土鉱物です。火山灰の風化によって生成されます。黒ボク土の主要粘土鉱物ですが、アロフェンを主成分としない黒ボク土もあります。それが「非アロフェン質黒ボク土」です。

㋑ ですが
イライトは、粘土サイズの雲母鉱物の通称です。層荷電が相対的に大きく、吸水して膨張する膨張層を有しないとされます。スメクタイトは、さまざまな膨潤性層状ケイ酸塩の混合鉱物です。粘土鉱物に属します。イライトとスメクタイトが逆の記述と考えられます。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
アロフェンについての記述です。

㋓ ですが
二次鉱物とは、物理的変化の後、化学的変化を受け、元の鉱物とは組成が異なる鉱物です。一般に「陽」イオン吸着能が発現します。「陰」イオン吸着能ではありません。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

類題 H30no66 土壌の陽イオン交換
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-30-66/

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