国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問24解説

 問 題     

リチウム原子の 1s 軌道 φLi , 1s 及び 2s 軌道 φLi , 2s のエネルギーは、それぞれ -65.0 eV、 -5.4 eV、水素原子の 1s 軌道 φH , 1s のエネルギーは、-13.6 eV である。LiH 分子に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ただし、LiH 分子の分子軌道はエネルギーの低い順に、1σ、2σ、3σ、… であるとし、リチウム原子と水素原子の距離は LiH 分子の平衡核間距離であるとする。


㋐ 1σ 軌道のエネルギーは、リチウム原子の 1s 軌道のエネルギーにほぼ等しい。

㋑ 電子の分布は水素原子側に偏っており、水素原子は部分的に負に帯電している。

㋒ 電子基底状態における電子配置は (1σ)4 である。

㋓ 2σ 軌道を、cLi , 2s φLi , 2s + cH , 1s φH , 1s と表したとき、|cLi , 2s| > |cH , 1s| である。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋑、㋓
3.㋐、㋒、㋓
4.㋑、㋒
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。

㋑ は妥当です。
電気陰性度の大体の値から推測できると思われます。

㋒ ですが
1 つの軌道には電子が最大 2 つまでしか入りません。(1σ)2 (2σ)2 と考えられます。㋒ は誤りです。

㋓ ですが
低いエネルギーを持つ原子軌道の方が、結合分子軌道に大きな寄与をします。大きな寄与を持つ方が係数の絶対値は大きいです。

φLi , 2s は -5.4eV、φH , 1s は -13.6eV なので、φH , 1s の方が大きい寄与で、絶対値は大きいです。従って、不等号の向きが逆です。


以上より、正解は 1 です。

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