国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問93解説

 問 題     

放射線の生物への影響に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 放射線の生物への影響は、酸素濃度が低いときに、より強く現れる傾向がある。

㋑ α 線の生物への影響は、γ 線に比べて酸素濃度に左右されにくい。

㋒ 放射線により生じる様々な DNA 損傷のうち、最も頻度が高いとされているのは DNA 二本鎖切断である。

㋓ 相同組換えによる DNA 二本鎖切断の修復では、通常、相同染色体上の相同配列が利用される。


1.㋐
2.㋐、㋒
3.㋑
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
「酸素に富んだ」細胞は、放射線感受性が高いです。つまり、酸素濃度が「高い」ときに、より強く現れる傾向があります。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。
α 線は、γ 線に比べ、酸素濃度に影響が左右されにくいです。

㋒ ですが
頻度が高い順に 塩基損傷 → 一本鎖切断 → ニ本鎖切断です。小さい損傷ほど、高頻度でおきます。「最も頻度が高い…のは DNA 二本鎖切断」ではありません。㋒ は誤りです。

㋓ ですが
DNA 二本鎖切断の修復について、相同組換え修復と、非相同末端結合という2つの形式が知られています。

相同組換え修復では、鋳型となる同一もしくは相同な配列、すなわちDNA 複製後の姉妹染色分体もしくは相同染色体が必要です。ただし、ヒトを含む高等動物細胞では、相同染色体はほとんど鋳型として機能しません。そのため、相同組換えによる修復は、姉妹染色分体が存在する細胞周期の S 期の後半から G2 期に限定されます。「通常、相同染色体… が利用される」わけではありません。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 3 です。

類題 R1 no93 放射線の線質
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-r1-93/

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