問 題
猛暑日が続き、連日にわたって熱中症警戒アラートが発表されているため、多くの人がドラッグストアに病者用食品の経口補水液を購入に来た。購入希望者から薬剤師に、脱水や熱中症への対策について相談が度々あった。
問236
薬剤師が、購入希望者に対して行う、脱水や熱中症に関する説明内容として適切なのはどれか。2 つ選べ。
- 室内で過ごしていれば、熱中症になることはありません。
- 喉の渇きを感じるまで、水分補給は必要ありません。
- 経口補水液を飲み過ぎると、ナトリウムの過剰摂取につながる恐れがあります。
- めまいや大量の発汗、筋肉のこむら返りなどの初期症状に注意してください。
- この経口補水液は病者用の食品であるので、医師の診断を受けてから摂取してください。
問237
この経口補水液に表示されているマークはどれか。1 つ選べ。
正解.
問236:3, 4
問237:4
解 説
問236
【病者用食品 基礎知識+本試験時点でのトピック】
病者用食品とは、特別用途食品のうち 特定の疾病のための食事療法上の期待できる効果の根拠が医学的、栄養学的に明らかにされている食品として 消費者庁 が許可した食品です。
ちなみに
令和 6 年 経口補水液の 「許可基準型 病者用食品」というカテゴリーの 新設がありました。背景としては、病者用食品であるかのように表示した類似製品が増えていたことがあげられます。
このカテゴリー新設により、無許可で「経口補水液」と表示している商品については、2025 年 5 月末までに容器包装を差し替えなかった場合、健康増進法違反として取り締まる という規定になっています。
許可基準型の場合、許される 特別用途表示の範囲は「感染性胃腸炎による下痢・嘔吐等の脱水状態に適する」旨のみ可能です。熱中症予防といった文言が このパターンの許可を得た経口補水液では駄目、ということです。
一方、個別評価型 病者用食品では、例えば「高齢者の経口摂取不足」なども記載されていることがあります。
選択肢 1 ですが
冷房をつけずに過ごすなどの場合、室内で熱中症になることもあります。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
喉の渇きを感じた時点で軽い脱水といえます。喉の渇きを感じる前に水分補給することを意識するとよいです。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
経口補水液は、水、塩分、糖分を配合した飲料です。
選択肢 4 は妥当です。
脱水症の初期症状です。
選択肢 5 ですが
医師の指示を受けて摂取するものですが、ドラッグストアでも手軽に買えるように、医師の診断を受けてからでないと摂取できない、というものではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 236 の正解は 3,4 です。
問237
選択肢 1,2 ですが
これらは特定保健用食品のマークです。経口補水液に表示されているマークではありません。
条件付きとあるのは 「条件付き 特定保健用食品」です。有効性の科学的根拠が特定保健用食品のレベルに届かないものの、一定の有効性が確認された食品を、限定的な科学的根拠であるという表示条件付きで許可された食品に対して、選択肢 2 のマークがつきます。選択肢 1,2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
JAS マークです。経口補水液に表示されているマークではありません。JAS マークは 品位、成分、性能などについての JAS 規格 (一般 JAS 規格) を満たした食品や林産物などに付されます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
特定保健用食品を除く特別用途食品 につけられる 特別用途食品マーク です。
選択肢 5 ですが
総合衛生管理 (HACCP) 厚生労働大臣承認マークです。経口補水液に表示されているマークではありません。総合衛生管理過程 (HACCP システム) を導入しているとして 厚生労働大臣が承認した工場等で製造された食品 に付けられます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 237 の正解は 4 です。
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