薬剤師国家試験 第109回 問169 過去問解説

 問 題     

抗悪性腫瘍薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。

  1. シタラビンは、標的細胞で三リン酸化体となり、DNA ポリメラーゼを阻害して、DNA 合成を低下させる。
  2. テガフールは、活性代謝産物が活性酸素を発生させて、DNA を酸化的に傷害する。
  3. フルダラビンは、トポイソメラーゼⅠを阻害して、がん細胞の G2 期への移行を抑制する。
  4. ドキソルビシンは、DNA ポリメラーゼ及び RNA ポリメラーゼを阻害して、DNA 及び RNA の合成を低下させる。
  5. アファチニブは、血管内皮細胞増殖因子受容体 (VEGFR) チロシンキナーゼを阻害して、血管新生を抑制する。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
細胞内で三リン酸化されて、DNA ポリメラーゼを阻害する シタラビンについての記述です。

選択肢 2 ですが
テガフールは、消化管吸収後、体内で CYP2A6 によって代謝され、抗悪性腫瘍作用を示すプロドラッグです。代謝されてフルオロウラシルになって作用を示します。フルオロウラシルの作用機序は、活性酸素発生ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
フルダラビンは、プリン系抗悪性腫瘍剤です。代謝拮抗薬です。トポイソメラーゼⅠ阻害薬ではありません。ちなみに、代表的トポイソメラーゼⅠ阻害薬はイリノテカンです。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
ドキソルビシンについての記述です。

選択肢 5 ですが
アファチニブは、不可逆的に EGFR に対するチロシンキナーゼ阻害作用を有する薬剤です。「VEGFR チロシンキナーゼ阻害薬」ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1,4 です。

類題 103-164 抗悪性腫瘍薬
https://yaku-tik.com/yakugaku/103-164/

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