薬剤師国家試験 第109回 問103 過去問解説

 問 題     

電子移動を示す矢印で記した機構が主となって、実際に進行し、生成物が得られる反応はどれか。1つ選べ。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

全てアルケンの付加反応です。確実にとりたい問題です。


選択肢 1 ですが
「アルケンに対する HBr の付加反応」では、まず二重結合が H に攻撃してカルボカチオンが中間体として形成されます。Br へ攻撃するわけではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
アルケンへのジクロロカルベンの付加反応では、2 つの C-C 結合が同時に形成し、1 段階でシクロプロパン構造が作られます。カルボカチオン中間体を経るわけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
アルケンへのボラン (BH3) の付加であるヒドロホウ素化反応では、二重結合部分が攻撃するのは ホウ素における空の π 軌道です。そのため、電子の矢印は B に向かうのが妥当です。矢印が H に向かっているため、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
代表的なアルケンの付加反応である「ハロゲンの付加反応」の反応機構です。

選択肢 5 ですが
アルケンの過酸によるエポキシ化では、二重結合が COO「O」H 部分における「O」の部分に攻撃します。選択肢の構造で言えば「OH」の O に攻撃です。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 4 です。

類題 107-103
https://yaku-tik.com/yakugaku/107-103/

参考 アルケンの付加反応 (anti 付加)
https://yaku-tik.com/yakugaku/yk-2-2-2/

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