薬剤師国家試験 第109回 問36 過去問解説

 問 題     

ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質 (MTP) を阻害する脂質異常症治療薬はどれか。1 つ選べ。

  1. エゼチミブ
  2. エボロクマブ
  3. ロミタピド
  4. アトルバスタチン
  5. ペマフィブラート

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

選択肢 1 ですが
エゼチミブ(ゼチーア)は、小腸コレステロールトランスポーター(NPC1L1)阻害薬です。ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質 (MTP) を阻害する薬ではありません。選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ですが
エボロクマブ (レパーサ) は、ヒト抗 PCSK9 モノクローナル抗体製剤です。PCSK9 とは、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型のことです。LDL 受容体分解促進タンパク質である PCSK9 に高い親和性を示し、PCSK9 の LDL 受容体への結合を阻害します。この結果、LDL 受容体の分解を抑制します。ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質 (MTP) を阻害する薬ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
ロミタピド(ジャクスタピッド)は、高脂血症治療薬です。適応はホモ接合体家族性高コレステロール血症です。ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)を阻害することにより脂質転送を阻害し、結果として血漿中 LDL-C 濃度が低下します。

選択肢 4 ですが
アトルバスタチンは、HMG-CoA 還元酵素を阻害し、肝細胞の低密度リポタンパク質 (LDL) 受容体を増加させます。ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質 (MTP) を阻害する薬ではありません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
フィブラート系薬です。核内受容体である PPARα に結合することにより、肝臓での中性脂肪合成を抑制すると共にリポタンパク質リパーゼを活性化させることで、血中の中性脂肪値を低下させます。ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質 (MTP) を阻害する薬ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 3 です。

類題 108-38 脂質異常症
https://yaku-tik.com/yakugaku/108-038/

コメント