問 題
67 歳男性。開心術後に低心拍状態となり心原性ショックと診断された。本疾患の治療に当たりアドレナリン注射液及び電解質輸液 (開始液) が、中心静脈ダブルルーメンカテーテルから図のように投与されている。
看護師は医師よりオメプラゾールナトリウム注射液を 1 時間かけて投与するよう指示を受けたため、薬剤師に投与経路について確認した。
問204
オメプラゾールナトリウム注射液の投与手順として適切なのはどれか。1 つ選べ。
- A からのラインを止め、C から適量の生理食塩液でフラッシュした後、C から投与する。
- A からのライン及び B からのラインを止め、C から適量の生理食塩液でフラッシュした後、C から投与する。
- A からのライン及び B からのラインを止め、D から適量の生理食塩液でフラッシュした後、D から投与する。
- B からのラインを止め、D から適量の生理食塩液でフラッシュした後、D から投与する。
- フラッシュなしで直接 D から投与する。
問205
オメプラゾールは弱酸で、静脈血 (pH 7.4) 中で次のように解離するものとする。
静脈血中でのオメプラゾールの分子形とイオン形の存在比として正しいのはどれか。1 つ選べ。
ただし、オメプラゾールの pKa を 8.9、√10 = 3.2 とする。また、オメプラゾールの投与により静脈血のpHは変化せず、血清タンパクとの相互作用、オメプラゾールの代謝及び温度の影響は考慮しないものとする。
- 分子形:イオン形
- 32:1
- 16:1
- 3.2:1
- 1:3.2
- 1:16
- 1:32
正解.
問204:1
問205:1
解 説
問204
断面図が与えられていることに加え、アドレナリンが精密持続点滴とある点に注目します。
もし、D からオメプラゾールを投与すると、断面積が小さい方から2剤を投与することになります。また、オメプラゾールと一緒に、ルート内のアドレナリンが押し出されることで、想定されていない速度で投与されてしまうと考えられます。これらをふまえると、オメプラゾールは C からの投与が妥当です。従って、正解は 1 or 2 です。
さらに、心原性ショックの患者に、アドレナリンを精密持続点滴しているのだから、B からのラインを止めずにオメプラゾールを投与すべきであると考えられます。
以上より、正解は 1 です。
問205
ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式より、pH = pKa + log イオン形/分子形 (酸性化合物の場合) です。イオン形を以降、[X–]、分子形を [HX] とします。pH = 7.4、pKa = 8.9 を代入すれば、以下のように、分子形が イオン形の 32 倍の時に、等号成立します。
以上より、正解は 1 です。
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