薬剤師国家試験 第108回 問173 過去問解説

 問 題     

薬物 A 200 mg を患者に急速静脈内投与したところ、投与直後と 2 時間後の血中濃度はそれぞれ20 μg/mL 及び 4 μg/mL であった。同じ患者に薬物 A を点滴静注し、定常状態における血中濃度を 15 μg/mL にしたい。

定常状態に達するまでの投与量 (mg) と点滴時間 (h) の組合せとして最も適切なのはどれか。1 つ選べ。

ただし、薬物 A の体内動態は線形 1 – コンパートメントモデルに従うものとし、定常状態に到達するまでに要する時間は消失半減期の 5 倍とする。また、ln2 = 0.693、ln5 = 1.61とする。

  • 投与量 (mg) 点滴時間 (h)
  1.   60     1
  2.   120     1
  3.   120     2
  4.   360     5
  5.   600     5

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

・公式 Vd =D/C0 より、Vd = 200mg/20μg/mL です。単位変換して、ug/mL を mg/L になおせば、Vd = 10L とわかります。

・公式 lnC = lnC0 -ket より、C = 4,t = 2,C0 = 20 を代入すれば、ke = 1/2 × ln 5 と表せます。※lnC – lnC0 = ln(C/C0) です。

ln5 = 1.61 を使い、ke = 0.805
→ 公式 T1/2 = ln2/ke より、T1/2 = 0.693/0.805 とわかります。 また、公式 CL = ke・Vd より、CL ≒ 8 です。

・半減期の5倍で定常状態なので、点滴時間は選択肢から選ぶと 5h と考えられます。公式 Css = (D/τ)/CL について τ = 5 とした上で、Css = 15、CL = 8 とすれば、選択肢の中で妥当な 投与量 D は 600 と考えられます。

以上より、正解は 5 です。

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