薬剤師国家試験 第108回 問49 過去問解説

 問 題     

粉体の流動性を改善するために、大きくすべき物性値はどれか。1つ選べ。

  1. かさ比容積
  2. 安息角
  3. かさ密度
  4. 内部摩擦係数
  5. 空隙率

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

「粒子径が小さくなるほど、凝集性が大きくなるため、空隙率が大きくなります」というのが基礎知識です。(102-52)。この時、凝集性が大きくなっているのだから、流動性が落ちています。

つまり、流動性改善のためには、逆に
・粒子径 大きくする
・凝集性 小さくする
・空隙率 小さくする と考えられます。

まず、選択肢 5 の空隙率は、流動性を改善するために「小さくすべき」です。誤りとわかります。その他については、用語の意味から推測していきます。


選択肢 1 ですが

(かさ)比容積とは、1g で、どれだけの体積か という値です。流動性がいいと、空隙率が小さくなるのだから、ぎゅっとつまるイメージで、同じ 1g の時に体積は小さくなります。つまり、流動性改善のために、比容積は小さくすべきです。選択肢 1 は誤りです。 

選択肢 2 ですが
安息角とは、粉体を静かに落下させた時に円すい形に堆積した時の、円すいの母線と水平面のなす角です。安息角が大きい時、粉体はさらさらしていないと想像できると思われます。つまり、流動性を改善するために、安息角は「小さくすべき」です。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 は妥当です。
かさ密度は、「粉の重さ」÷「タッピング(容器をトントン)した後の体積」で求めます。これは基礎知識です。(100-176)。かさ密度が大きいためには、タッピングした後の体積が小さい方がいい、ということです。これは空隙率で言えば小さいということです。つまり、流動性改善のために、空隙率小さくすべき → かさ密度大きくすべき という流れです。

選択肢 4 ですが
摩擦係数が大きいと、摩擦力が大きくなるので、これは流動性が悪くなると考えられます。選択肢 4 は誤りです。

以上より、正解は 3 です。

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