問 題
45歳女性。人間ドックで膵がんの疑いを指摘され、大学病院を受診し、検査の結果、膵がん(遠隔転移あり)と診断された。
1次化学療法としてFOLFIRINOX療法による治療を開始するにあたり、遺伝子多型を検査したところ、UGT1A1*6ヘテロ接合体であった。
初回投与(1コース目)は以下の投与量で実施した。その後、下痢(1日2回程度)が見られたが、止瀉薬を内服することで対応可能であった。しかし、血液検査の結果、2コース目の化学療法は1週間延期された。
(2コース目投与予定日の血液検査値)
総ビリルビン 1.1mg/dL、AST 24IU/L、ALT 22IU/L、BUN 22.9mg/dL、血清 クレアチニン値 0.9mg/dL、赤血球数 270×104/μL、白血球数 1,690/μL、好中球数 820/μL、Hb 12.2g/dL、血小板数 21.4×104/μL
(2コース目投与予定日から1週間延期した日の血液検査値)
総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 27IU/L、ALT 23IU/L、BUN 18.5mg/dL、血清クレアチニン値 0.5mg/dL、赤血球数 355×104/μL、白血球数 4,230/μL、好中球数 1,910/μL、Hb 13.6g/dL、血小板数 28.6×104/μL
2コース目投与予定日から1週間延期した日の血液検査結果をもとに、カンファレンスを実施した。薬剤師が医師に提案する内容として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- イリノテカン塩酸塩水和物を減量して投与する。
- レボホリナートカルシウム水和物を減量して投与する。
- 化学療法当日に人血小板濃厚液を投与し、イリノテカン塩酸塩水和物は初回と同量で投与する。
- 化学療法当日にG-CSF製剤を投与し、イリノテカン塩酸塩水和物は初回と同量で投与する。
- 今回も化学療法は延期する。
解 説
UGT1A1*6ヘテロ とあるので、イリノテカンによる副作用が出やすい患者です。1コース目の結果、下痢に加え、2コース目にいくのが妥当ではない血液検査の結果であり、副作用が強く出ていることがうかがえます。
1週間の延期を経て血球成分の回復が見られ、化学療法2コース目を行うことは妥当ですが、イリノテカンの減量が必要と考えられます。
以上より、正解は 1 です。
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