サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている

本の内容を簡単に…

タイトルにそそられて手に取ってみましたが、サラリーマンに有りがちな長年の慢性的な悩みに対して、個人的見解ではなく学問的アプローチで解決策を提示しているのが本書の特徴です。

このような切り口のビジネス書は珍しく、読み物として面白くてとても有意義な読書になったので、まだ社会人になっていない学生の皆さんにもオススメできる一冊です。

この本は次のような章立てで、さらにそれぞれが3~7の節に分かれています。新書サイズで240ページくらいで、一つの節は10ページ弱なので、通学電車の中などで気軽に読むことができると思います。

  1. なぜ、いくらがんばっても給料が上がらないのか?
    ~あなた自身、あなたの会社、そして日本全体が潤うための経済成長理論
  2. なぜ、お金が貯まらないのか?
    ~行動経済学から学ぶあなたがお金を貯められない理由と簡単にお金を貯める方法
  3. どうすれば楽して出世できるのか?
    ~ポジティブ心理学から学ぶ自分を最大限活かす方法
  4. どうすれば職場の人間関係はうまくいくのか?
    ~組織行動論による人間関係のマネジメント
  5. どうすれば仕事はうまく回るのか?
    ~人類を月に連れていったプロジェクトマネジメントの力
  6. なぜ、いくら仕事をがんばっても家庭がうまくいかないのか?
    ~ポジティブサイコロジーが教えてくれる幸せな家庭のレシピ
  7. それでも悩みのつきない日々をどう生きれば良いのか?

著者はこんな方

著者は西内啓さん。統計学(特に医療統計学)を専門としていて、2014年ビジネス書大賞を受賞した「統計学が最強の学問である」などの本を執筆している方です。

来歴は、東京大学助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長などを経て、今(2020.12現在)はデータビークルという会社の代表取締役として、データサイエンス(企業のビックデータを解析する事業)を扱う仕事をされています。

おすすめのポイント

ビジネス書って著者の主観で書かれることが多く、それはそれで楽しめることもあるのですが…この本のように客観的な切り口で解説しているものは少ないので、新鮮でした。また、誰もが抱く悩みに対して、個人的見解ではなく集合知を知ることができるのは、今後の自分の行動や考え方の参考にしやすいです。

個々の事例に対する著者の主張(というか統計学的アウトプット)は本書を読んでもらうとして…私がこの本を読んで思ったことは、「自分たちが抱えている慢性的な悩みや不安に答えがあるなら、気が楽だ」ということです。

出口が見えず、いつ終わるのかもわからない戦いを強いられるのはストレスですが…一定の答えがあってそれに向かっていけるなら、その過程においても、人はそんなに辛く感じないんじゃないかと思います。

もちろん、お金だったり人間関係だったりの悩みが、本書を読んでパッと解決するわけではありません。けれど、学問的なアプローチから「こう考えてみてよ」と方向性を示してくれるのは、感情論よりも理屈で納得したい私にとってはすごく腑に落ちました。

こんな人におすすめ!

  • お金や人間関係の悩みを抱えて日々過ごしている人
  • 慢性的なストレスを減らしたい人

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