総評
薬理学系
・1 冊目 FLASH 薬理学で全体像をつかむ 推奨!
薬剤学系
・コンパス 生物薬剤学 + 薬剤学(ベーシック薬学シリーズ)推奨
・臨床薬物動態学 かなり大変だけど、TDM 関連についてすごく力がつきます。
書籍のレビュー
FLASH 薬理学
薬理学の1冊目にほしかったのは、こういう本です!詳しすぎず、わかりやすい。まとめもコンパクト、図も豊富かつスッキリと理解できます。
僕は学生の時に「カッツングコア」という教科書のまとめ部分をパラパラ読んで、初めて薬理学の全体目次みたいなものができて4年生の時に CBT の過去問で薬理だけ解いてようやく知識がつながっていきました。その過程を、「高速道路に乗って 10 ページごとにぐいぐい先に連れて行ってくれるイメージ」で追体験できる本でした。
『New 薬理学が教科書で
先生が淡々と薬理的解説+板書+重要薬名を教科書で指定
→5週間ほど経って、覚えるべき量が莫大に増えた
→試験前日丸暗記』
の繰り返しで、ただただカタカナの海におぼれていたりする人とかいませんか?
この本をちらっと読んでから過去問解くと、薬理学がすごく楽しくなってくるかもしれません!新しい作用機序も浮かんでくるかも♪
- 詳しすぎない!
- 要点整理がわかりやすい
- 図も詳しすぎない
- 国試対策として、この1冊だけでは不十分。1冊目として推奨。
NEW 薬理学
詳しい。
読んでもなんにも身につかなかった 汗
各項目について詳しく知りたい時に、索引を開き該当ページを開くと、必要な情報がそっと載って、待ってくれています。
例)「ベンゾジアゼピンの基本骨格はまだしも構造活性相関なんて知らないよ・・・。構造活性相関ってカテコラミンぐらいしか聞いたことなくない?」→抗不安薬の章の2ページ目にばっちり書いてるー!!などなど。。。
はるか高みにたどり着くまでずっと発見が潜む本。版の変化がわかるようなレベルに、そしてこの本に一行記述を追加できる成果を出せるようになってみたいものです!
- 詳しい
- 1冊目としては適さないかも
コンパス 生物薬剤学
薬剤学は、薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄:ADME)に関する薬物動態学、物質である薬物を薬として薬剤にする製法等に関する製剤学などを含む学問分野です。
この本は、薬物動態学の全体像をまず理解するために、コンセプトにもあるのですが『ミニマムエッセンス』でまとめてくれています。他の類書と比較した時に余白の多さ、読みやすさを実感できるのではないかと思います。
また、各章末の問題が ○☓ で演習しやすい上に、巻末解説が案外充実。こちらもミニマムエッセンスを徹底している印象です。国試対策として、このテキスト+過去問演習で十分学習できます。おすすめです!
- ミニマムエッセンス!
- 読みやすいし、まとまっている
- なし
臨床薬物動態学
薬物血中濃度に関して、理論だけでなく病床における活用例までコンパクトにまとまりきっている教科書です。
薬剤師特有の視点の一つは血中濃度という観点です。その視点を広く、鋭くするために、手元にあって絶対に損はしない一冊と思います。国試がかなり解けるようになっても「肝代謝型薬物において、肝血流量が落ちると何がおきるのか?静注持続投与しているとして、そのままでいいのか?」といったことを、「5択から正解を選ぶ」という形式ではなく、自分で考えることはなかなか難しいいのが現実ではないでしょうか。
本当に勉強になる本です。
公務員試験総合職 二次記述における薬剤学対策にも重宝する一冊です。
- 薬剤師としての力がつくこと請け合い!
- 公務員試験総合職対策としても有用
- ぼんやりしていた理解が深まる
- 面白くて深みにはまるかも。国試対策こればっかやっちゃだめ。薬剤学は薬物動態だけじゃない!
薬剤学(ベーシック薬学シリーズ)
物理学的製剤学分野(界面など)、製剤学分野、薬局方における一般試験法の分野を一冊でコンパクトにまとめています。生物薬剤学(ADME)以外の分野についてはこの一冊で必要十分です!
- 製剤学関連を一冊でカバー
- 問題演習は少し物足りないかも。
分子薬物動態学
薬学や創薬に関わる研究者を目指す薬学生向け というアドバンスな教科書です。国試対策には全く不要なのですが、演習がとにかく面白かったので意欲ある人はぜひ一目見てほしくて紹介します。
一例をあげると
『先行品 A が市場に出たあとで、肝障害で 20 名が死亡。割合は 10 万~30 万に 1 人。また、軽度の肝障害は多く見られている。あなたは A と同じ分子標的をもつ化合物 B を開発している会社の研究員である。臨床試験前にどのような点に重点をおいた研究が必要になるか?』といった問題です。臨場感あふれる具体的問題設定にドキドキしてきませんか。また、このような問題を解決する視点としての薬物動態学なわけです。さらにこれまでに学んできたあらゆる科目の知識が関連づけられていくのではないでしょうか。
個人的にすごく面白かった本だからこそ、一方で、個人的に不満というか要望があるところです。2008 年出版なんですが、版が新しくならないんですよね。。。コンセプトから考えると、新しい内容が反映されてしかるべきなんじゃないかと思っています。とはいえ、2020 年時点で改めて見てもやっぱり面白いと感じます。
- 演習が実践的、オリジナリティあふれている!
- 研究に興味がある人にぜひ読んで欲しいコンテンツ
- 少しフレッシュな本とはいえない
- 分厚い。国試等にはオーバースペック