問 題
粒子径のみが異なる大小2種の単分散球形固体粒子から成る粉体Ⅰ及びⅡを、同一仕込み量(W0)で一定温度の水にそれぞれ投入し攪拌した。溶解せずに残っている量(Wt)を経時的に測定したところ、図のような関係が得られた。
この結果の説明に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。ただし、溶解はシンク条件において拡散律速で進行するものとし、試験条件は同じとする。
- 粉体ⅠとⅡの粒子の溶解現象は、いずれもHixson-Crowellの式に従う。
- 粉体Ⅰの粒子は、粉体Ⅱの粒子よりも粒子径が大きい。
- 粉体Ⅱの粒子は、溶解に伴って粒子の形状が球形から不規則形に変化している。
- 粉体Ⅰの粒子の溶解速度定数は0.006g1/3/minである。
- 試験開始60分後において、溶解した粉体Ⅱの量は0.36gである。
正解.1, 2
解 説
選択肢 1 は妥当な記述です。
W01/3ーW1/3 が直線関係にあるので、Hixson-Crowell 式 に従っているとわかります。
選択肢 2 は妥当な記述です。
粉体Ⅰ は、W01/3ーW1/3 が粉体Ⅱよりもゆっくり値が増えています。W01/3 は定数です。従って、W、つまり「溶解せずに残っている量」が「なかなか小さくならない」ということです。つまり粉体Ⅰの方が溶けにくい ということがグラフから読み取れます。粒径の違いしかないはずなので、粉体Ⅰの方が粒径が「大きい」とわかります。
選択肢 3 ですが
直線関係が維持されている → Hixson-Crowell 式 に従っている → 式が仮定する「球形」も維持されていると考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
溶解速度定数とは、グラフの傾きです。粉体Ⅰの方の直線の傾き が 0.2 ÷ 50 = 0.004 です。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
このグラフだけでは、直線性が 60 分後にも持つかわからない上に、W0 がわからないため、求めることができません。
以上より、正解は 1,2 です。
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