薬剤師国家試験 第102回 問189 過去問解説

 問 題     

薬物Aと薬物Bをそれぞれ200名の患者に投与して、ある副作用の発現割合を比較したところ、副作用が発現した人は薬物A群で40名、薬物B群で15名であった。患者の内訳を詳細に調査した結果、薬物A群で100名、薬物B群でも100名が重症の患者であった。

報告によると、薬物A投与の場合、副作用発現に重症度の影響はみられないが、薬物B投与では、重症の患者は、重症でない患者に比較すると副作用発現割合が2倍高くなることがわかっている。この場合、次の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

  1. この試験における重症度は交絡因子である。
  2. 多変量解析によりバイアス要因を解析することができる。
  3. 重症度による層別化を行うことにより、解析段階で調整して比較することができる。
  4. 重症の場合、薬物Aにおける副作用の発現割合は薬物Bと比較して小さい。
  5. 重症でない場合、薬物Aにおける副作用の発現割合は薬物Bと比較して大きい。

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

選択肢 1 は、正しい記述です。
交絡因子とは、原因→X→結果 という関係にある X のことです。

代表例としては「週1回以上飲酒する人は発がん患者が多い」という結果が出た場合に、週1回以上飲酒する人には喫煙者が多かった とします。そして飲酒者を、1:非喫煙者かつ 週1回以上飲酒する層 と 2:非喫煙者 かつ 飲酒しない層 に分類した所、飲酒をよくしようがしまいが発がん率には変化がなかったとします。この場合交絡因子が喫煙の有無 です。

本問でも、重症度を考慮して患者を分類することで割合が変化していることから重症度は、1つの交絡因子と考えられます。

選択肢 2 は、正しい記述です。
多変量解析によって要因の解析ができます。

選択肢 3 は、正しい記述です。

選択肢 4 ですが
薬物 A 群では、重症かどうかで副作用の発現比率に差がないので、100名中 20 名 の副作用発現です。一方、薬物 B 群では、重症の方が副作用の発現比率が 2 倍なので重症患者100名中 10 名が副作用発現しています。

従って、薬物 A における副作用の発現割合の方が、薬物 B と比較して大きいことがわかります。よって、選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 は、正しい記述です。
薬物 A 群では、重症でない 100 人中 副作用発現は 20 名です。いっぽう、薬物 B 群では重症でない 100 人中 副作用発現は 5 名です。

以上より、正解は 4 です。

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