薬剤師国家試験 第102回 問155 過去問解説

 問 題     

全身麻酔薬、麻酔補助薬及び催眠薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. プロポフォールは、メラトニン受容体を選択的に刺激し、催眠作用を示す。
  2. チアミラールは、γ-アミノ酪酸GABAA受容体のバルビツール酸結合部位に作用し、細胞外へのCl流出を促進する。
  3. レミフェンタニルは、血液中の非特異的エステラーゼにより速やかに代謝されるため、作用持続時間はモルヒネよりも短い。
  4. ゾルピデムは、γ-アミノ酪酸GABAA受容体のα1サブユニット(ω1受容体)に選択的に作用し、催眠作用を示す。
  5. エスタゾラムは、セロトニン5-HT1A受容体に部分刺激薬として作用し、催眠作用を示す。

 

 

 

 

 

正解.3, 4

 解 説     

選択肢 1 ですが
プロポフォールは静脈麻酔薬の1つです。特徴は、非ベンゾジアゼピン系であることです。又、作用時間が超短時間です。これは、速やかに肝代謝を受けるからです。GABAA 受容体機能亢進により、麻酔作用を示します。メラトニン受容体刺激薬では、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

ちなみに、メラトニン受容体刺激薬としてはラメルテオン(ロゼレム)があります。

選択肢 2 ですが
チアミラールは、バルビツール酸系静脈麻酔薬の1つです。バルビツール酸系の作用機序はGABAA 受容体におけるバルビツール酸誘導体結合部位に結合することで、GABA 神経系の活動性を高めることです。具体的には、Cl 流入を促進し、過分極を引き起こします。細胞「外」への Cl 「流出の促進」では、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3,4 は、正しい記述です。
レミフェンタニルは、超短時間オピオイド鎮痛薬です。ゾルピデムは、非 Bz 系睡眠導入剤です。※非 Bz だが、選択肢の通り作用点は GABA 受容体であることに注意。

選択肢 5 ですが
エスタゾラムは、◯◯ゾラムなので、Bz系です。セロトニン受容体刺激薬では、ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。ちなみに、5-HT1A 受容体 部分作動薬としては、セディール(タンドスピロン)があります。

以上より、正解は 3,4 です。
類題 97-155

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