薬剤師国家試験 第102回 問154 過去問解説

 問 題     

下記の化学構造を有する局所麻酔薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 薬物Aは、血中偽性コリンエステラーゼにより容易に分解される。
  2. 薬物Bは、血中偽性コリンエステラーゼにより容易に分解される。
  3. 薬物Cは、血中偽性コリンエステラーゼにより分解されない。
  4. 薬物Bは、生理的pHにおいては、イオン型と非イオン型の平衡状態で存在し、非イオン型が速やかに細胞内に入る。
  5. 薬物Cは、生理的pHにおいては、イオン型と非イオン型の平衡状態で存在し、細胞内では非イオン型がより強くNa+チャネルを遮断する。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

局所麻酔薬とあり、構造式を与えられているのでまず、エステル型かアミド型に着目すると、A,Cはエステル型、Bはアミド型とわかります。エステル型は、短時間で容易にエステラーゼで分解されます。アミド型は、より安定です。以上をふまえ、各選択肢を検討します。

選択肢 1 は正しい記述です。
薬物 A はエステル型なので、エステラーゼにより容易に分解されます。

選択肢 2,3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい記述です。
局所麻酔は「細胞内に入り、イオン型で作用する」という特徴があります。そして、細胞膜を通過するのは非イオン型です。

選択肢 5 は、誤った記述です。
Na+ チャネルを遮断するのはイオン型です。

以上より、正解は 1,4 です。

ちなみに、薬物 A,C (エステル型)はそれぞれ、A:アミノ安息香酸エチル、C:プロカイン、薬物 B (アミド型)は、リドカインです。

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