国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H26年 問41解説

 問 題     

酵素を用いた分析法に関する記述 ㋐ ~ ㋓ の正誤の組合せとして最も妥当なのはどれか。

㋐ 速度分析法 (rate assay:初速度法) で用いられる酵素量は、平衡分析法 (end-point assay:終点法) で用いられる酵素量よりも多い。
㋑ ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)を補酵素とする酵素を用いる分析法では
波長 340nm の吸光度の変化を測定する。
㋒ 過酸化水素を生成する酵素反応では生じた過酸化水素とカタラーゼにより無色物質から呈
色物質を生成させてその吸光度を測定する。
㋓ 固定化酵素を用いた携帯型血糖測定装置にはヘキソキナーゼが利用されている。

㋐ ㋑ ㋒ ㋓
1. 正 正 誤 誤
2. 正 誤 正 誤
3. 誤 正 正 正
4. 誤 正 誤 誤
5. 誤 誤 正 正

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
速度分析法とは、基質濃度と初速度が比例するような反応開始直後の時間範囲において、連続的に吸光度を測定しつつ基質速度を変化させ、基質や生成物の量の変化から速度 v を求める分析法です。一方、平衡分析法は、十分な酵素量の下、反応を完全に進行させて基質や生成物の量の変化を求める分析法です。「速度分析法」で用いられる酵素量が「多い」わけではありません。よって、㋐は誤りです。

㋑ は妥当な記述です。

㋒ですが
カタラーゼ は、過酸化水素に対して働き、水と酸素に分解する酵素です。過酸化水素を生成する酵素反応では、過酸化水素により酸化されることによって、呈色反応を促し、吸光度を測定するといった分析が行われます。よって、㋒ は誤りです。

㋓ ですが
血糖測定に用いられる酵素は、グルコースオキシダーゼ(GOD)か、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)です。ヘキソキナーゼではありません。よって、㋓は誤りです。

以上より、誤、正、誤、誤です。正解は 4 です。

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