従来の医薬品製剤における問題点を、以下に数例あげていきます。
まず抗ガン剤についてです。抗ガン剤のターゲットはがん細胞ですが、投与から吸収 → 分布 → 代謝 → 排泄の過程を通じて他の正常な細胞にも作用してしまいます。その結果、重篤な副作用が抗ガン剤の使用にはつきものです。
現在、抗ガン剤の副作用に対しては、支持療法が発達しており、吐き気止めや成分栄養剤などを活用することで副作用を大分抑えることができています。しかし、そもそもターゲットであるがん細胞のみに抗ガン剤を投与することができれば、副作用も小さくなり、抗ガン剤の作用もより有効になります。
次に、パーキンソン病の治療薬についてです。パーキンソン病は、病気が進行していくと服薬の回数が多くなりがちな病気です。1日4~6回、複数の薬を飲んでいる患者さんも数多く存在します。服薬回数が増えると、どうしてもコンプライアンスは低下してしまいます。経口投与以外の、患者負担の少ない剤形が求められています。
更に、精神疾患治療薬についてです。精神疾患治療中の患者において、自己判断による服薬の自己調節が問題点として挙げられます。TDM を行うことも保険適用上ほぼできないため、適切な服薬がなされているかの判断ができず、治療効果にも大きな影響を与えます。
又、新しい分野の薬として期待されている核酸医薬やペプチド医薬は、経口投与した時の組織移行性や、ターゲットまでの到達性が問題点になっています。
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