問 題
52歳男性。左片麻痺を主訴に受診し、CT検査で右頭頂葉に腫瘤を認めたため入院精査を行うことになった。造影MRIで、右頭頂葉にリング状に造影剤増強効果を示す20×23㎜径の腫瘤と広範な周辺浮腫を認めた。また、胸部単純X線検査では左下肺野に腫瘤影を認めた。
原発性肺癌の脳転移が疑われ、原発巣の確認と全身の転移巣の検索を目的として、PET-CT検査を行うことになった。核医学の専門医から、PET-CT業務を担当する薬剤師に検査薬の調製と品質検定が依頼された。
問236
調製すべき検査薬はどれか。1つ選べ。
- 99mTcO4-
- 67Ga-クエン酸
- 15O-酸素ガス
- 123I-3-ヨードベンジルグアニジン
- 18F-フルデオキシグルコース
問237
この検査薬の体内分布を測定するには何を検出すればよいか。1つ選べ。
- 陽子線
- 陽電子線
- 特性X線
- γ転移で放出される電磁波
- 消滅放射線
正解.
問236:5
問237:5
解 説
問236
99mTc は、肝脾疾患の診断などで用いられます。本患者は、原発性肺癌の脳転移疑いということなので、用いられません。よって、選択肢 1 は誤りです。
67Ga は、悪性腫瘍、炎症性病変の診断に用いられます。特に乳がん、肺がん、悪性リンパ腫などへ高い集積を示します。本患者は、原発性肺癌の脳転移疑いということなので、用いられません。よって、選択肢 2 は誤りです。
15O は、脳酸素消費量を測定する時に用いられます。本患者は、原発性肺癌の脳転移疑いということなので、用いられません。よって、選択肢 3 は誤りです。
123I は、褐色細胞腫の診断などに用いられます。本患者は、原発性肺癌の脳転移疑いということなので、用いられません。よって、選択肢 4 は誤りです。
18F は、悪性腫瘍の診断に広く用いられます。転移性の腫瘍の診断にも用いられます。
以上より、正解は 5 です。
問237
18F-FDG は、周囲の電子と反応して消滅放射線と呼ばれる γ 線を放出します。その γ 線を測定することにより、検査薬の体内分布を測定します。
以上より、正解は 5 です。
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