問 題
医薬分業の進展とともに、かかりつけ薬局の重要性が高まっている。かかりつけ薬局を訪れたAさんは、1週間前より以下の処方にて薬を服用中である。
「明日早朝より10日間出張のため、薬が3日分不足することになる。電話したが、医師は不在であると看護師に言われた。」と相談があった。
なお、センノシド錠は「処方せん医薬品以外の医薬品」に分類されている。
問318
薬剤師の最初の対応として適切なのはどれか。1つ選べ。
- 3日分お渡しします。出張後処方せんを医師からもらってきてください。
- 看護師に伝えておきますので、3日分お渡しします。
- 同じ有効成分を含有する一般用医薬品がありますが、いかがですか。
- 明日医師に連絡して処方日数を変更してもらいますので、3日分お渡しします。
- あなたの知人のBさんが同じ薬を服用しています。Bさんに相談されてはいかがでしょう。
問319
医薬分業に関わる記述のうち、誤っているのはどれか。2つ選べ。
- 最近の処方せん受取率は、全国平均で約80%である。
- 薬局薬剤師には、地域医療におけるチーム医療の一員としての役割が期待されている。
- 医薬分業の利点には、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担し、国民医療の質的向上を図ることがあげられる。
- 「かかりつけ薬局」の意義として、薬歴管理により重複投薬、相互作用の有無の確認などができ、薬物療法の有効性・安全性が向上することがあげられる。
- 業務の責任を明確にするため、病院薬剤師と薬局薬剤師は連携せずに、独立して業務を行うことが求められる。
正解.
問318:3
問319:1, 5
解 説
問318
選択肢 1,2,4 ですが
処方せん無しで、勝手に薬を渡してはいけません。又、勝手に日数変更はできません。よって、選択肢 1,2,4 は誤りです。
選択肢 3 は、適切な対応と考えられます。
具体的には、コーラックハーブなどが推奨されます。
選択肢 5 ですが
他の人の処方薬についてむやみに教えることは個人情報保護の観点から許されません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
問319
選択肢 1 ですが
処方せん受け取り率とは、病院・診療所の外来患者の中で投薬の対象となる患者のうち保険薬局で調剤を受けた割合のことです。2013 年度において、全国平均 67.0% です。約 80 % では、ありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ~ 4 は、その通りの記述です。
選択肢 5 ですが
退院後のスムーズな連携を始めとして、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携が求められています。(薬薬連携 といわれたりします。)よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,5 です。
以下、私見を含む、補足です。
選択肢 2 の「地域医療におけるチーム医療の一員」という選択肢の記述について、以下に補足します。
高齢化社会の進展を背景に、医療の中心が在宅へと移行しつつある中において「慢性的に、長期的に薬を服用している患者」に対して薬学的専門性を活かして、他職種と意味のある連携をとることで患者にとってよりよい薬物治療を実現していくことと考えると、少しイメージしやすいと思います。
具体的には、服用している薬に注目した時に『食べ合わせ、飲み合わせに注意すべき点』に関しての情報共有や『服用中の薬の特性』に関しての注意喚起 などが例としてあげられるでしょう。他職種間も含めた情報共有ツールとしての、お薬手帳の活用も様々な試みが取り組まれています。(電子化も進んでおり、発達が期待される分野です。)
とはいえ、少なくともこの試験の時点においては、現在進行形で、役割を模索しつつ、具体的貢献を積み重ねチーム医療の一員としての役割をよりよく果たしていこうとしている段階であるといえます。
言い換えれば、本当に地域医療におけるチーム医療の一員となっているかどうかはこれから10年単位での時間の経過を待った上で具体的実践の積み重ねが評価されるのを待たないとわからない、といえます。
本問に取り組む一人一人が、各自の理解を深めつつ、所属する集団がどのような目標を掲げ、何を実践しているかといった点に、しっかりアンテナをはり続けながら自分なりの、最善を、尽くすことが求められているのだと個人的には考えます。
もう一点、チーム医療に関して補足します。
「患者中心」であるのがチーム医療である、という前提と、必ずいつかはみな亡くなるのだ という点をふまえるならば、健全な死生観の発達 及び、自身の傾向の把握というのがチーム医療の一員としての医療職には必須であると 感じます。
健全な死生観 とは 「死を、何とか避けようとする」 のではなく、患者さんや他のチームのメンバーの持つ死生観を理性的に把握、解釈した上で、自分なりの考えを組み立てることができる ということであると、個人的に考えます。
又、自身の傾向の把握とは、仕事として、感情を制御できなくなるようなパターンはないか。あるとすれば、どう対処するか。無茶をしすぎたり、自分の意見に固執しすぎる点はないか。集団の中において、自分の強みはどこか。といった点についての把握です。このような点については薬学教育を通じ、各自が意識的に補完することが求められている、と考えており少し長くなったのですが、補足として言及しました。 補足 終わり
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