問 題
37歳女性。脂質異常症のため病院で以下の薬剤が処方されている。
問252
ピタバスタチンなどのスタチン系薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリルCoA(HMG-CoA)還元酵素を非競合的に阻害する。
- 肝細胞膜表面の低密度リポタンパク質(LDL)受容体を増加させ、血中からのLDLコレステロール取り込みを促進する。
- 血中トリグリセリド濃度には影響しない。
- 肝細胞以外で高密度リポタンパク質(HDL)受容体を増加させ、血中HDLコレステロールを低下させる。
- 重大な副作用として、横紋筋融解症を引き起こすことが報告されている。
問253
この患者が、自宅で熱傷を負い緊急受診し、抗菌薬を投与されることとなった。担当医師より抗菌薬の選択について問い合わせがあった。ピタバスタチンカルシウム錠との併用において、薬物動態上、注意を要する抗菌薬はどれか。1つ選べ。
- レボフロキサシン水和物
- クリンダマイシン塩酸塩
- エリスロマイシンステアリン酸塩
- セフカペンピボキシル塩酸塩
- アジスロマイシン水和物
正解.
問252:2, 5
問253:3
解 説
問252
選択肢 1 ですが
非競合的ではなく、競合的に阻害します。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、その通りの記述です。
選択肢 3 ですが
スタチンは、LDL-コレステロールだけでなく中性脂肪も下げる作用があります。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
スタチンを使用するとHDL コレステロールは上昇します。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は
その通りの記述です。特に、本問のような処方の新患さんには、横紋筋融解症の初期症状(赤褐色の尿、筋肉痛、手足のしびれや脱力)を伝えておき、症状が見られた時には休薬して医療機関の受診を行うようしっかりと服薬指導しておく必要があります。
以上より、正解は 2,5 です。
問253
選択肢の中で、ピタバスタチン(リバロ)錠との併用において肝臓への取り込みが阻害されることにより、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症のおそれがあるとされているのがエリスロマイシン です。ちなみに「肝臓への取り込み阻害」とは、具体的には OATP1B1 (トランスポーターの一種)によるリバロの血中 → 肝臓への取り込み を、エリスロマイシンがトランスポーターを阻害することによる取り込み阻害 とのことです。
以上より、正解は 3 です。
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