薬剤師国家試験 第99回 問248-249 過去問解説

 問 題     

40歳男性。心室頻拍・心室細動の既往歴がある。内科診療所にて、ピロリ菌の除菌を行うこととなった。また、同時に貧血があることを指摘され、除菌と同時に治療することとなり、以下の薬剤が処方された。

問248

処方された薬剤の作用に関する記述として、いずれの薬剤にも該当しないのはどれか。1つ選べ。

  1. 酸性条件下で、H,K-ATPaseを可逆的に阻害する。
  2. 細菌のリボソームに結合し、タンパク質合成を阻害する。
  3. 細菌のトランスペプチダーゼを阻害し、細胞壁合成を阻害する。
  4. 腸内細菌叢を正常化し、整腸作用を示す。
  5. 鉄欠乏性貧血患者において、血清鉄を増加させる。

問249

上記処方の中で、この患者の既往歴に対して最も注意が必要な薬剤はどれか。1つ選べ。

  1. ランソプラゾールカプセル
  2. アモキシシリンカプセル
  3. クラリスロマイシン錠
  4. 酪酸菌錠
  5. クエン酸第一鉄ナトリウム錠

 

 

 

 

 

正解.
問248:1
問249:3

 解 説     

問248

選択肢 1 ですが
ランソプラゾールはプロトンポンプ阻害薬( PPI )です。PPI は、酸性条件下で不可逆的に H+,K+ -ATPase を阻害します。可逆的にではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。

選択肢 2 ~ 5 は、正しい記述です。

以上より、正解は 1 です。

問249

心疾患既往があるため、クラリスロマイシンの服用に注意が必要です。クラリスロマイシンの代表的な副作用に QT 延長等があり、心疾患の既往歴がある患者には注意が必要です。

具体的には、薬を服用中にめまい、動悸、胸が痛むなどの症状がみられた場合にすぐに医師・薬剤師に連絡するよう指導すること が必要であると考えられます。
参考)重篤副作用疾患別対応マニュアル(心室頻拍 の PDF へ)

以上より、正解は 3 です。

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