問 題
58歳男性。がんの転移の有無を診断するため、フルデオキシグルコース(18F)を用いた陽電子放出断層撮影法(PET)検査を実施することとなった。
問204
フルデオキシグルコース(18F)を用いるPET検査に関して誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 本剤は虚血性心疾患の診断にも用いられる。
- 投与前から撮像までは安静にする。
- 本剤は血漿中でほとんど代謝されずに存在し、未変化体のまま排泄される。
- 画像のコントラストをあげるために、同時にグルコースを服用する。
- 炎症部位等に集積し、偽陽性所見を呈する可能性がある。
問205
PETに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- 11C、18F、201Tlはいずれも陽電子を放出する核種であり、PETに利用される。
- PETで用いられる18F核種は、18OにX線を照射することで製造される。
- 放射性核種から放出された陽電子は、生体内の電子と結合して、ほぼ180度の方向に2本のγ線を放出して消滅する。
- PETはX線CTと組み合わせることにより、安定同位体で標識した薬物の体内動態を画像表示することができる。
- PETの核医学画像からは対象臓器の機能情報は得られない。
正解.
問204:4
問205:3
解 説
問204
選択肢 1 ~ 3 は、その通りの記述です。
選択肢 4 ですが
同時にグルコースを服用すると、18F -フルデオキシグルコースの腫瘍細胞への取り込みと競合しコントラストは下がると考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は、その通りの記述です。
炎症部位では白血球が集まっていることなどから、エネルギー需要が多く、グルコースがいっぱい取り込まれるために、集積すると考えられます。
以上より、正解は 4 です。
問205
選択肢 1 ですが
11C、18F は陽電子を放出しますが、201Tl はγ 線 を放出します。(塩化タリウム の形で 甲状腺腫瘍や心筋 の測定に用いられる核種です。)よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
18F の製造は、18O に陽子線を照射することによります。X 線では、ありません。この際、中性子が放出されます。(核反応式 と呼ばれる 式の形で表すと 18O(p,n)18F と表されます。)よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、その通りの記述です。
選択肢 4 ですが
安定同位体とは、崩壊をおこさない同位体です。これで標識しても、PET による画像表示はできません。X 線 CT と組み合わせれば、CT による静止画 は得られますが (レントゲン像は、得られる)薬物の体内動態の画像表示はできません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
形態よりも、機能に関する情報が豊富に得られるのが、PET の特徴です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
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