問 題
部分受容体刺激薬に関する記述として正しいのはどれか。1つ選べ。
- 受容体の立体構造を変化させる力は、完全受容体刺激薬と同等である。
- 完全受容体刺激薬の存在下で相乗作用を示す。
- 固有活性によって最大作用が決まる。
- 内因性受容体刺激物質の作用を変化させない。
- 濃度を上げれば受容体を最大限に活性化する。
解 説
選択肢 1 ですが
部分受容体刺激薬とは、受容体に結合するが、完全受容体刺激薬よりは作用が弱い薬のことです。作用が弱い原因として、受容体の立体構造を、完全受容体刺激薬よりも変化させきらない結合形成や、完全作動薬とは異なる結合形式をとっていることなどがあげられます。つまり、立体構造を変化させる力が同等であるとは、いえません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
相乗作用とは、それぞれの薬が異なる受容体に作用する場合の作用です。完全受容体作動薬と部分受容体刺激薬は、同じ受容体に作用する薬です。相乗作用は示しません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい記述です。
固有活性とは、薬が受容体に結合した後に、作用を生み出す能力のことです。最大の反応を示す薬物の固有活性を 1 とします。例えば、ある部分受容体刺激薬の固有活性が 0.5 ならば、どんなに薬物と受容体が結合しても、最大の反応を示す薬物に対して 50 %の効果しか発現しません。つまり、 固有活性によって最大作用が決まるといえます。
選択肢 4 ですが
内因性受容体刺激物質とは、内因性、つまり体内で作られるカテコラミンなどのことです。部分作動薬の中には、β 遮断薬のように、内因性交感神経刺激作用(ISA:Intrinsic Sympathomimetic Activity)を持ち、内因性受容体刺激物質の作用に影響を与えるものもあります。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
薬物濃度を上げることで、受容体に対する薬物の占有度を 100 % にすることはできます。しかし、固有活性が 1 でなければ受容体を最大限に活性化することはできません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。
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