問 題
関節リウマチ患者200人をランダムに割付けし、単盲検の並行群間試験を実施したところ、103人が試験薬投与群、97人が対照群に割付けられた。14週間の試験期間において、試験薬投与群では35人が試験を完了できずに脱落、対照群では6人が脱落した。
[解析1] 脱落者を除き、試験を完了した試験薬投与群68人、対照群91人で治療効果を検討した。
[解析2] 脱落者も試験完了者とともに解析に組み入れた。
問292
この研究結果を解釈するにあたって、適切でないのはどれか。1つ選べ。
- 単盲検試験では、被験者は割付けの内容を知らない。
- 並行群間試験では、各群に被験薬又は対照薬が投与され、エンドポイントが観察される。
- 評価指標の内容が、真のエンドポイントを反映するかどうかを確認する。
- 関節リウマチの治療を意図したときの有効性をみるには、[解析2]よりも[解析1]の結果を重視する。
- [解析2]の解析方法は、intention-to-treat analysisと呼ばれる。
問293
被験者をエントリーするにあたり、関節リウマチの診断を行うために自己抗体の測定を行うこととした。選択基準として用いるのに適切なのはどれか。1つ選べ。
- 抗二本鎖DNA抗体陽性
- 抗Sm抗体陽性
- 抗リン脂質抗体陽性
- 抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)抗体陽性
- 抗マイクロゾーム抗体陽性
正解.
問292:4
問293:4
解 説
問292
単盲検試験とは、医師は治験薬の中身を知っているが、被験者は治験薬の中身を知らないような試験です。
群間比較試験とは、被験薬群と対照薬群に被験者を無作為に分類した上で、各群同時並行に試験を実施し、結果をエンドポイントを用いて比較評価する方法です。
選択肢 3 は適切な内容です。
評価指標が、真のエンドポイントを反映するかの確認はとても重要です。例としては、「腫瘍の縮小」が「5年生存率の増加」に寄与しているかといった確認です。
選択肢 4 は不適切です。
脱落がかなりの割合でる(原因としては、不快感などの強い副作用が治療に伴うなど)ような薬ならば、治療を意図した時の有効性には、脱落した患者も解析に考慮すべきです。そうしなければ、「治療をいざ行おうとすると、ほとんどの人が脱落してしまうような薬」が高い評価されてしまう可能性があるからです。
選択肢 5 はその通りの記述です。
以上より、正解は 4 です。
問293
リウマチ発症の検査として用いられるのは、抗CCP(cyclic citrullinated peptid:環状シトルリン化ペプチド)抗体です。よって、正解は 4 です。
ちなみに、抗二本鎖DNA抗体は、主に全身性エリテマトーデスで検査されます。
抗Sm抗体は、主に全身性エリテマトーデスで検査されます。補助診断として用いられます。
抗リン脂質抗体は、抗リン脂質抗体症候群の検査に用いられます。陽性だからといって症状(主なものとして、血栓症、不妊症など)が現れるとは限りません。
抗マイクロゾーム抗体は、バセドウ病や橋本病の検査に用いられます。
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