問 題
経口及び経腸的に栄養摂取不能な体重50kgの男性患者に栄養輸液が処方された。
問286
高カロリー輸液の調製時に、処方に含まれる1日当たりの成分量を確認したところ、以下の様であった。処方医に確認すべき項目はどれか。1つ選べ。
- 糖質 :250g
- アミノ酸 :75g
- 脂質 :150g
- Na+ :100mEq
- K+ :80mEq
問287
この患者の栄養状態の評価に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 体重が1週間に0.5kgの割合で増加している場合には、水分負荷の過剰を疑う。
- 上腕三頭筋の皮下脂肪厚は、体脂肪量の推定に用いられる。
- 筋タンパク量の推定には、上腕筋囲長が用いられる。
- 中心静脈栄養時は1日摂取熱量が一定なので、血糖値のチェックは不要である。
- 栄養状態の短期的変動を評価するには、血清トランスサイレチン値よりも血清アルブミン値の方が適している。
正解.
問286:3
問287:2, 3
解 説
問286
三大栄養素の含む熱量(エネルギー)を推定する時、糖質 → 4kcal/g、タンパク質 → 4kcal/g、脂質 → 9kcal/g として推定します。又、1日の必要カロリーは、一般的な成人で約 2000 カロリー です。
糖質 250g → 1000 kcal、アミノ酸 75g → 300 kcal、脂質 150g → 1350 kcal となります。すると、1日の必要カロリーの半分以上を脂質からとるというのは少し比率が大きすぎると考えられます。もしかしたら、15gを、150gとして処方されたのではないかと考えられます。よって、処方医に確認すべき項目は、脂質です。
以上より、正解は 3 です。
ちなみに、Na+、K+ の投与量は適切であると考えられます。輸液投与における電解質の1日必要量としては、Na+ は、60 ~150 mEq です。K+ は、40 ~ 100 mEq 程度です。
特に Na については、Na+ の mEq を g に変換するには、大体 0.17(0.2 でもいいかも。) を掛けると概算できます。それと、1日の塩分摂取は、1日 8 ~ 9 g ぐらいであることを覚えておくと、◯◯ mEq と言われた時の、大体のイメージがしやすいと思います。
問287
体重が増加している場合には、カロリー負荷の過剰が疑われます。よって、水分負荷の過剰ではないので、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2,3 はその通りの記述です。
中心栄養静脈を行うときは、血糖値を始めとしたさまざまな値を、安定するまで継続的かつ頻繁に測定します。血糖値に関しては、安定するまで、例えば6時間毎といった頻度で測定されます。よって、選択肢 4 は誤りです。
血清トランスサイレチンは、プレアルブミンとも呼ばれるタンパク質です。栄養管理の評価の時に用いられる RTP:rapid turnover protein すなわち、半減期が短く、現在の栄養状態に鋭敏に反応するようなタンパク質の一つです。栄養状態の短期的変動を評価するさいに、すぐれた指標となるタンパク質です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
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